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肝門部領域胆管癌の術前検査 【ドレナージ術前のMDCTが重要。肉眼型に応じた進展度診断を行う】

No.4834 (2016年12月17日発行) P.56

伊佐山浩通 (東京大学大学院医学系研究科消化器内科学准教授)

河上 洋 (宮崎大学医学部医学科消化器内科学講座教授)

登録日: 2016-12-14

最終更新日: 2016-12-08

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  • 肝門部領域胆管癌の手術は高度に専門的で,肝葉切除を伴い,胆道再建を必要とします。根治をめざすために様々な情報と工夫が必要ですが,検査を進めていく上でいろいろ迷うこともあります。まずは,最初に術式を決めるためにはどの情報を重視すべきでしょうか。
    内視鏡的逆行性膵胆管造影検査(endoscopic retrograde cholangiopancreatography:ERCP)を始める前に術式が決まっていないと,ドレナージ領域が決められませんが,どのような画像検査のどのような所見を見ればよいのか教えて下さい。また,正確ながんの進展範囲を決めるのに,どのような工夫が必要でしょうか。がんが粘膜下に進展しているときは粘膜の所見,生検ではわかりませんし,胆管内超音波でも診断には苦労しています。宮崎大学・河上 洋先生に診断のコツをご教示頂ければ幸いです。

    【質問者】

    伊佐山浩通 東京大学大学院医学系研究科消化器内科学 准教授


    【回答】

    最も重視する画像検査はMDCT(multi-detector row-CT)です。MDCTにより腫瘍の局在のみならず,水平・垂直方向への腫瘍の進展,脈管浸潤,遠隔転移診断や脈管走行の解剖学的理解ができます。

    MDCTの能力を最大限に生かすためには撮像条件が重要になります。動脈相早期・動脈相後期・門脈相・平衡相の4相のほか,MPR(multi planar reconstruction)再構築も加えて下さい。また,黄疸で発症することが多い腫瘍の評価には胆道ドレナージ術前にMDCTを撮像することがきわめて重要です。胆道ドレナージ施行後は反応性に胆管壁肥厚を生じるため,正確な診断が困難となります。

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