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薬用石鹸販売禁止で「健康不安視の必要なし」 【厚労省調査会】

登録日: 2016-11-29

最終更新日: 2016-11-29

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厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の安全対策調査会は11月28日、同省がトリクロサンを含む薬用石鹸の製造・販売各社に対し、来年9月末までに代替品への切り替えを求めている措置について、安全対策の観点から「妥当」と判断した。一方、薬用石鹸に関連した健康被害が報告されていないことから、「消費者が薬用石鹸による健康影響を不安に思う必要はない」とした。

厚労省の対応は、米国食品医薬品局(FDA)の販売禁止措置(用語解説)に倣ったもの。FDAが販売禁止とした19成分のうち、日本ではトリクロサン、トリクロカルバンを含む製品が流通しており、厚労省は対象成分を含まない代替品への切り替えを要請中。なお、ポビドンヨード製剤など医療用抗菌製品は、今後もこれまで通り販売が継続される。

トリクロサンの安全性を巡っては、FDAが発がんリスクの考慮の必要性を指摘。一部の動物実験データでは、内分泌攪乱作用やアレルギー原因となる可能性を示唆しているが、今回の措置がとられたのはトリクロサンの人体への有毒性が示唆されたからではない。同日の調査会に参考人として出席した国立医薬品食品衛生研究所の五十嵐良明生活衛生化学部長は、トリクロサンの経皮曝露による健康リスクについて、「人に対する直接的な有毒性が示唆されているわけではない」と指摘。耐性菌出現リスクに関しても、「日本の薬用石鹸中のトリクロサン濃度は米国よりかなり低い。トリクロサンは河川水を浄水化する際に除去されるので、環境中での曝露も考慮は不要」とした。

用語解説▶FDAの販売禁止措置
FDAが9月、トリクロサンなど19成分を含む薬用石鹸について、1年以内に販売禁止とすることを決めた措置。その根拠は、主に①感染症対策において通常の石鹸に対する優位性が未実証、②環境中での耐性菌出現リスク、③長期使用の安全性データ不足―の3点。

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