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リアルタイムPCRを応用した角膜感染症の迅速診断 【1時間程度でウイルスDNAの検出が可能】

No.4832 (2016年12月03日発行) P.54

林 康人 (愛媛大学眼科講師)

登録日: 2016-11-30

最終更新日: 2016-11-28

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角膜感染症の透明治癒のためには,いかに短時間で診断を下し,治療を開始できるかが重要である。真菌,細菌,原虫(アカントアメーバ)の場合,病原体が光学顕微鏡で判別できる大きさであるので,迅速診断は一般的にはサンプルの塗抹,染色,検鏡で行われる。しかしウイルスの場合,光学顕微鏡で判別できる大きさではないので,従来は角膜の所見から診察医の経験により判断されてきた。

Kary Mullisが考案したポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction:PCR)法は,分子生物学的研究にとどまらず,臨床検査法としても発展を続け,機材の高性能化と検出手法の改良により,簡便,迅速かつ,感度,特異度ともに高い検査方法となった。ウイルスDNA特異的プライマーを遺伝子の上流と下流にデザインし,PCR産物の中間にプローブを設定することで特異度が増し,PCR産物に接着したプローブから離れて蛍光を発する蛍光物質の蛍光量が閾値に達するPCRのサイクル数から,ウイルスDNAを1時間程度で検出することができる。このとき,PCR増幅配列を含む既知のコピー数の環状DNA(プラスミド)を準備しておくと,サンプル当たりのウイルスDNAのコピー数を算出してくれる定量リアルタイムPCR法が可能となる。

リアルタイムPCR法は,理論的には1コピーでも検出可能である。健常者でもウイルスDNAが検出されることがあり,ウイルスDNAのコピー数の定量が感染症の有無を判断し,治療効果を判定する上で重要な情報となる。

【解説】

林 康人 愛媛大学眼科講師

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