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元社員に懲役2年6月、ノバ社に罰金400万円求刑 ―「検察側「前代未聞の悪質事案」、弁護側は無罪を主張」【ディオバン論文不正事件】

No.4832 (2016年12月03日発行) P.10

登録日: 2016-11-28

最終更新日: 2016-11-29

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  • ノバルティスファーマ社の降圧剤ディオバンの論文不正事件が山場を迎えた。11月25日の東京地裁(辻川靖夫裁判長)で検察側は論文データを改竄したとして薬事法違反(虚偽広告)の罪に問われた元社員の白橋伸雄被告に懲役2年6月、ノバ社に罰金400万円を求刑。弁護側は無罪を主張した。

    昨年12月から始まった公判は来月結審し、判決は来年3月の予定。

    起訴状によると、ノバルティスファーマ元社員の白橋伸雄被告は京都府立医大の研究者が2011年と12年に英文誌に発表したKyoto Heart Study(KHS、用語解説)のサブ解析論文で、ディオバン投与群に有利になるようデータを改竄したなどとされる。起訴内容がサブ解析論文なのは、東京地検が強制捜査に入った時点で主論文の公訴時効が成立していたため。

    主な争点は、①白橋被告が非ARB群のイベント数を水増ししたデータに基づく図表等を作成・提供したか、②それは意図的な改竄か─など。


    【Kyoto Heart Study】:心血管合併症の予防効果をバルサルタン(商品名ディオバン)と非ARBで比較した試験。臨床研究のスポンサーはノバ社で、KHSを実施した京都府立医大にノバ社から総額約3億8000万円の資金が提供された。結果は、ディオバン群が対照群に比べて45%も合併症を抑制。両群の降圧値が同等であったことから、ノバ社は「降圧を超えた臓器保護効果」として大々的なプロモーションを展開した。しかし、その後不正が明らかとなり、関係論文は撤回。厚労省が東京地検に告発状を提出するに至った。

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