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前立腺肥大症の手術療法の変遷 【TUR-Pの登場以来,改良が重ねられ選択肢が豊富に】

No.4815 (2016年08月06日発行) P.49

相田紘一朗 (聖マリアンナ医科大学腎泌尿器外科)

登録日: 2016-08-06

最終更新日: 2016-10-30

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前立腺肥大症(BPH)の手術は,1970年代までは,開腹による被膜下前立腺腺腫核出術が標準的な手術方法であったが,1980年代以降は,経尿道的前立腺切除術(TUR-P)が広く普及した。現在でもTUR-Pはgold standardの治療と言ってよいが,様々な改良が考案されてきた。
90年代には,前立腺組織の熱凝固・変性を主体とする術式である組織内レーザー凝固(ILCP), 高密度焦点式超音波療法(HIFU), 経尿道的針焼灼術(TUNA)などが登場したが,長期的に再手術が必要となる例があり,手術件数は減少した。
2000年代には,灌流液に生理食塩液を使用できるbipolar-TURPや,前立腺を切除するのではなく核出するバイポーラ電極前立腺核出術(TUEB)が開発された(文献1)。さらに,ホルミウムレーザーを用いて前立腺腺腫を核出するホルミウムレーザー前立腺核出術(HoLEP)が登場し,100mL以上の大きな前立腺に対しても,高い治療効果を示した(文献2)。また,前立腺組織を蒸散する光選択的前立腺蒸散術(PVP)が登場し,TUR-Pに比べ手術時間はやや長いが,出血量がきわめて少なく,抗凝固薬内服下でも問題なく手術が可能とされている(文献3)。
これらの術式は,BPHの大きさや患者の併存症,医療施設の設備,術者の習熟度などを考慮して選択されるべきと考えられる。

【文献】


1) 中川 健:Urol View. 2007;5(6):95-9.
2) Kuntz RM, et al:Eur Urol. 2008;53(1):160-6.
3) Sandhu JS, et al:J Endourol. 2005;19(10):1196-8.

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