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膵神経内分泌腫瘍に対する薬物療法 【エベロリムスとスニチニブが標準治療として推奨されており,ストレプトゾシンも保険適用に】

No.4797 (2016年04月02日発行) P.53

清水 明 (信州大学消化器外科講師)

小林 聡 (信州大学消化器外科准教授)

宮川眞一 (信州大学消化器外科教授)

登録日: 2016-04-02

最終更新日: 2016-10-26

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膵神経内分泌腫瘍(NET)に対する薬物療法は,WHO分類(2010年)のグレードによって選択肢が異なる。『膵・消化管神経内分泌腫瘍(NET)診療ガイドライン(2015年第1版)』では,膵NET G1/G2に対しては,分子標的治療薬であるmTOR阻害薬のエベロリムス(文献1),もしくはマルチキナーゼ阻害薬のスニチニブ(文献2)が標準治療として推奨されている。また,抗癌剤であるストレプトゾシンも15年2月からわが国でも保険適用下で使用可能となった。ソマトスタチンアナログであるオクトレオチドは,消化管NET G1/G2に対しては第一選択薬として推奨されているが,膵NETに対しては推奨の記載はない。
一方,膵神経内分泌癌(NEC)に対する一次治療は,小細胞肺癌の治療に準じて,シスプラチン+エトポシド,もしくはシスプラチン+イリノテカンなどのプラチナベースの化学療法が推奨されているが,わが国ではいずれも保険未承認である。近年,増殖能の指標のひとつであるKi-67 index値によってNEC症例の化学療法に対する反応性に差があるとする報告もあることから,今後,増殖能など腫瘍の生物学的特性や,バイオマーカーなどの効果予測因子に基づく治療選択の個別化が重要になっていくと考えられる。

【文献】


1) Yao JC, et al:N Engl J Med. 2011;364(6):514-23.
2) Raymond E, et al:N Engl J Med. 2011;364(6):501-13.

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