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肝性脳症をきたした肝硬変患者に対する高アンモニア血症対策  【欧米での肝性脳症に対するリファキシミンの効果の報告から,日本での認可が待たれる】

No.4789 (2016年02月06日発行) P.55

岩佐元雄 (三重大学消化器内科准教授)

竹井謙之 (三重大学消化器内科教授)

登録日: 2016-02-06

最終更新日: 2016-10-26

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肝性脳症では,急性・慢性肝不全に伴い精神運動・認知・感情・運動スキル障害などの精神神経障害を呈する。種々の脳症誘発因子が推定されているが,現在もアンモニアが最も重要な要因である。対策としてまず蛋白質摂取制限が試みられるが,長期間に及ぶ場合には分岐鎖アミノ酸(BCAA)を含んだ経腸栄養剤の併用摂取を考慮すべきである。
薬物療法では,最初にラクツロースやラクチトールが投与されることが多く,低コストであることからも広く普及している。これらは,緩下作用のほかに腸内を酸性化し,アンモニア吸収を抑制するとともにアンモニア産生菌を減少させる広義のprebiotics製剤である。また,肝性脳症を対象とした経口BCAAの有効性をみたランダム化比較試験が8件報告されており,効果的との成績が多い。ほかに,L-カルニチンの投与が肝性脳症患者やモデル動物のアンモニアを低下させるとの報告がみられる。
欧米では,肝性脳症に対する難吸収性抗菌薬リファキシミン(rifaximin)の効果,すなわち肝性脳症患者の認知機能の改善,QOLの改善,脳症再発抑制,副作用が少なく忍容性も高いことなどが次々と報告され,その投与が一般的になりつつある。現在,日本においてもオーファンドラッグとしての許可をめざしてリファキシミンの治験が進行中であり,その結果が待たれる。

【参考】

▼ Iwasa M, et al:Hepatol Res. 2015;45(12):1155-62.

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