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前立腺肥大症に対する薬物療法 【PDE5阻害薬に認められた膀胱血流改善作用や炎症・酸化ストレス抑制作用】

No.4777 (2015年11月14日発行) P.53

福元和彦 (川崎医科大学泌尿器科)

登録日: 2015-11-14

最終更新日: 2016-10-26

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前立腺肥大症に対する薬物療法は,前立腺部尿道の平滑筋を弛緩させることにより排尿症状を改善させる,α1遮断薬が最も多く使われている。最近は,α1遮断薬が頻尿や尿意切迫感などの蓄尿症状を改善させる効果も報告され,長期的な効果も期待されている。
2009年に認可された5α還元酵素阻害薬は,テストステロンからジヒドロテストステロンへの変換を阻害し,前立腺を縮小させる効果がある。1年で40%程度の前立腺体積縮小効果があり排尿症状を軽減させるが,PSA値を50%低下させるため前立腺癌を見逃す可能性に注意しなければならない。
2014年にはPDE5阻害薬タダラフィル(ザルティア)が前立腺肥大症治療薬として承認され,保険適用になった。PDE5阻害薬は平滑筋細胞内のcGMP濃度を上昇させることで,平滑筋弛緩を惹起し下部尿路の閉塞症状を改善させる。PDE5阻害薬はもともと勃起障害治療薬として開発されたものであるが,PDE5は陰茎海綿体以外に,膀胱頸部や前立腺部尿道,あるいは血管の平滑筋にも広く発現していることが証明され(文献1),PDE5阻害薬に膀胱血流改善作用や炎症・酸化ストレス抑制作用など,多彩な作用機序があることがわかってきた。特にタダラフィルには,全身の血管内皮機能の改善や動脈硬化を抑制するとの報告(文献2)があり,今後さらなる研究が期待されている薬剤である。

【文献】


1) Morelli A, et al:J Sex Med. 2011;8(10):2746-60.
2) Rosano GM, et al:Eur Urol. 2005;47(2):214-20.

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