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サブタイプによって治療が異なる 腎細胞癌ではMRIによる診断が有用

No.4774 (2015年10月24日発行) P.53

山本 亮 (川崎医科大学放射線医学(画像診断1)講師)

登録日: 2015-10-24

最終更新日: 2016-10-26

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外科的切除不能な進行腎細胞癌に対しては,これまでサイトカイン療法が行われてきたが,その治療効果は決して満足のいくものではなかった。腎細胞癌は淡明細胞型腎細胞癌,乳頭状腎細胞癌,嫌色素性腎細胞癌,の主に3つのサブタイプにわけられるが,サブタイプ別の治療法が存在しなかったことから,これまでサブタイプの正確な診断は必要とされなかった。しかし,一定の治療効果が期待できる分子標的療法の出現によって,淡明細胞型腎細胞癌と,そのほかの非淡明細胞型腎細胞癌では治療に使用する分子標的治療薬が異なるため,治療前のサブタイプ診断が重要となってきている。
生検によるサブタイプ診断も行われているが,近年では非侵襲的な画像診断を用いた評価法が注目されている。その撮像パルスシークエンスとしては,ダイナミック造影MRI,拡散強調像およびT2強調像が有用であると報告(文献1)されている。淡明細胞型腎細胞癌では,ダイナミック造影で早期濃染-washoutパターン,拡散強調像で拡散の低下の乏しさ,T2強調像で比較的高信号が典型とされる。一方,非淡明細胞型腎細胞癌では,ダイナミック造影で漸増型の造影効果または軽度の早期濃染,拡散強調像で拡散の低下,T2強調像で比較的低信号が典型とされる。
今後,腎細胞癌に対する造影MRIの有用性がさらに認識され,適応が増加するものと考えられる。

【文献】


1) Sun MR, et al:Radiology. 2009;250(3):793-802.

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