株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

前立腺癌診断におけるマルチパラメトリックMRIの意義

No.4769 (2015年09月19日発行) P.58

玉田 勉 (川崎医科大学放射線医学(画像診断1)准教授)

登録日: 2015-09-19

最終更新日: 2016-10-26

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

わが国では,近年の食生活の欧米化や超高齢社会の到来により,前立腺癌の罹患数,死亡数が増加している。前立腺癌は,多くの場合PSA(前立腺特異抗原)という腫瘍マーカーの上昇を契機に発見されるが,最近,マルチパラメトリックMRIと呼ばれる方法が,前立腺癌の原発巣評価における最も優れた診断ツールのひとつとして開発され,確定診断である前立腺生検の精度を向上させる目的も含めて,生検前に施行することが推奨されるようになってきた。
マルチパラメトリックMRIとは,従来から用いられてきた形態画像としてのT2強調像に,2種類以上の機能画像を組み合わせた診断法である。代表的な機能画像には,造影剤を用いて病巣の灌流を評価する造影ダイナミックと,水の拡散現象を画像化する拡散強調像(文献1)がある。特に拡散強調像は,悪性腫瘍のような水分子の拡散が遅い組織では信号が上昇する特徴を持ち,腫瘍検出のみならず,腫瘍悪性度の評価に有用である(文献1)。また,拡散能の程度は定性的のみならず,見かけの拡散係数(apparent diffusion coefficient:ADC)として定量でき,数値指標としての利用も可能である。さらに,マルチパラメトリックMRIの有用性は,腫瘍検出・局在診断,悪性度の評価に加え,病期診断,治療効果判定,再発診断や予後予測と多岐にわたり,得られる診断情報は前立腺癌の適切な治療法の決定においてきわめて重要となっている。

【文献】


1) Tamada T, et al:NMR Biomed. 2014;27(1):25-38.

関連記事・論文

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

公立小浜温泉病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
勤務地: 長崎県雲仙市

公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top