株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

子宮筋腫治療の選択と安全性

No.4767 (2015年09月05日発行) P.55

南 千尋 (九州大学産科婦人科)

加藤聖子 (九州大学産科婦人科教授)

登録日: 2015-09-05

最終更新日: 2016-10-26

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

子宮筋腫は子宮平滑筋に発生する良性の筋腫で,30歳以上の女性の20~30%,顕微鏡的なものを含めると約75%にみられる。筋腫の約半数は無症状で経過する。
治療を要する筋腫とは,(1)症状(過多月経,月経困難症,下腹部腫瘤感,圧迫症状,不妊など)のあるもの,(2)挙児希望で不妊症・不育症の原因と考えられるもの,(3)妊娠中や分娩時にトラブルを引き起こす可能性の高いもの,(4)MRI所見などで非典型的な所見を示し,悪性疾患の疑いのあるもの,である。
筋腫の治療には薬物療法,手術療法がある。薬物療法としては過多月経に対する止血剤,鉄剤投与,月経困難症に対する消炎鎮痛薬など,また術前や閉経に近い患者にGnRHアゴニストの投与などがある。
手術療法は根治術として子宮全摘出術(腹式,腟式,腹腔鏡下)や,子宮を温存する手術として子宮筋腫核出術(腹式,腹腔鏡下,子宮鏡下)がある。また,子宮を温存する治療として最近保険適用となった子宮動脈塞栓術(uterine artery embolization:UAE)がある。両側子宮動脈を透視下に塞栓することで筋腫は不可逆的な梗塞に陥り,症例の大半(80~94%)で筋腫は約半分以下の大きさに縮小し症状は改善され,子宮は温存される。一方,透視による被ばく,術直後の疼痛,術後の感染症や子宮損傷などの合併症がある。また,術後の妊孕性に関する安全性が確立されておらず,今後の症例の蓄積により検討する必要がある。

【参考】

▼ 日本産科婦人科学会, 編:産婦人科研修の必修知識2013. 日本産科婦人科学会, 2013.

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top