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高リスク前立腺癌の手術療法

No.4754 (2015年06月06日発行) P.50

大山 力 (弘前大学泌尿器科教授)

登録日: 2015-06-06

最終更新日: 2016-10-26

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prostate specific antigen(PSA)によるスクリーニングが普及した現在でも,新規に診断される限局性前立腺癌の15~26%は高リスク群に分類される(文献1)。高リスク前立腺癌は低・中リスク群よりも悪性度と進行度が高く,PSA再発の頻度のみならず,二次治療の必要性,転移の頻度,前立腺癌死率ともに,ほかのリスク群よりも高い(文献2)。
高リスク前立腺癌の治療選択に関しては議論の多いところであり,放射線療法あるいは手術療法のどちらか一方の優位性を証明する十分なエビデンスは存在しない。最近,スウェーデンのがん登録データベースから,高リスク前立腺癌の全生存率において,手術療法が放射線療法を凌駕するという報告があった。しかし,高リスク前立腺癌を手術療法単独で治療すると,50%前後にPSA再発をきたす。このPSA-free survivalを改善するための戦略として,拡大リンパ節郭清,ネオアジュバントおよびアジュバント療法の併用が考えられる。
ネオアジュバント療法は高リスク前立腺癌の治療成績改善の有用な方法として期待されるが,単純なホルモン療法のネオアジュバント療法としての有用性は否定されている。ドセタキセルやエストラムスチンとホルモン療法との併用によるネオアジュバント療法も期待されるが,エビデンスは十分ではない。今後はCYP17阻害薬,アンドロゲン受容体阻害薬,分子標的治療薬などを組み込んだ補助療法の開発が期待される。

【文献】


1) Cooperberg MR, et al:J Urol. 2003;170(6 Pt 2):S21-5.
2) Rider JR, et al:Eur Urol. 2013;63(1):88-96.

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