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皮膚筋炎における自己抗体の同定

No.4723 (2014年11月01日発行) P.49

藤尾圭志 (東京大学アレルギー・リウマチ内科講師)

登録日: 2014-11-01

最終更新日: 2016-10-26

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自己抗体の出現は膠原病の大きな特徴の1つで,診断,病型分類や治療の決定に重要である。全身性エリテマトーデス,全身性強皮症などの膠原病では,疾患に特異的な自己抗体が大多数の例で陽性になる。その一方で,多発性筋炎や皮膚筋炎では,これまで自己抗体の陽性率は低いとされていた。
日常診療で測定可能な筋炎特異的抗Jo-1抗体は,多発性筋炎で20~30%,皮膚筋炎では約5%にしか検出されない。しかしながら,近年になって筋炎に特異性の高い新たな自己抗体が同定され,特に皮膚筋炎では筋炎特異抗体の陽性率は約75%に達することがわかってきた。さらに出現する自己抗体の種類と臨床症状および予後には関連がみられる。
抗Jo-1抗体を含む抗tRNA合成酵素抗体陽性例は間質性肺炎,関節炎,発熱,レイノー症状,mechanic’s hands(機械工の手)を伴うことが多い。抗Mi-2抗体陽性例は典型的な筋炎像を呈し,あまり間質性肺炎は合併しない。抗MDA5抗体陽性例は筋症状がみられないか軽度で,しばしば治療抵抗性で予後不良の急速進行性間質性肺炎を合併する。抗TIF1抗体陽性例は筋症状はあまり強くないが,皮膚症状は広範囲で激しいことが多く,さらに重要なことは約70%で悪性腫瘍を合併することである(文献1)。抗体の種類と臨床症状の関連は,自己抗体の筋炎の病態形成への寄与を示唆している。抗MDA5抗体や抗TIF1抗体測定もいずれ保険適用となることが予想され,今後筋炎の診療の質が大きく向上することが期待される。

【文献】


1) Fujimoto M, et al:Arthritis Rheum. 2012;64 (2):513-22.

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