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safe surgery saves lives:WHOチェックリスト

No.4712 (2014年08月16日発行) P.56

稲田英一 (順天堂大学麻酔科教授)

登録日: 2014-08-16

最終更新日: 2016-10-26

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世界保健機関(WHO)は,safe surgery saves livesというキャンペーンで,手術時のチェックリストを発表した。チェックリストは患者の手術室入室時の確認(Sign in),執刀前の確認(Time out),手術室からの退室時の確認(Sign out)の3つからなっている。日本でも以前に起きた手術時の患者取り違えなどは,このチェックリストを用いれば防ぎえたものである。
チェックリストの一部を挙げる。Sign inでは,少なくとも看護師と麻酔科医で,患者の同定,手術部位,術式,インフォームドコンセントの確認,手術部位のマーキング,アレルギーや困難気道や誤嚥,出血リスクの確認を行う。Time outでは,看護師,麻酔科医,外科医とともに,患者氏名,術式,切開部位,予防的抗菌薬投与の確認,予想される危機的状況や重大な出血量,患者特有の問題,手術器械の準備状況の確認を行う。Sign outでは,看護師,麻酔科医,外科医とともに,術式,手術器具,ガーゼ,針カウントの完了,手術標本のラベリングの確認を行い,術後の回復や術後管理における重要事項についての伝達を行う。術前から術後に至るまで,1人の患者に対してのシームレスなコミュニケーションが,手術患者の安全を守るために重要である。
このWHOのチェックリストにより,患者の予後が改善されることが報告されている(文献1)。日本の施設でも広く実施されるようになってきている。

【文献】


1) Haynes AB, et al:N Engl J Med. 2009;360 (5):491-9.

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