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救命の連鎖と5つめの輪としての心停止後症候群への治療

No.4706 (2014年07月05日発行) P.59

久志本成樹 (東北大学救急医学教授)

登録日: 2014-07-05

最終更新日: 2016-10-26

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米国心臓協会(AHA)ガイドライン2000において,心停止患者の救命のための(1)early access(早期通報),(2)early CPR(早期1次救命処置),(3)early defibrillation(早期除細動),④early advanced care(早期2次救命処置),といった4つの医療の連鎖が呈示された(文献1)。これらを的確に連結させて初めて心肺停止患者の救命が可能となることから,これをchain of survival concept(救命の連鎖)とした。AHAガイドライン2010と日本版ガイドライン2010では,その構成は同一ではないものの,心拍再開後の病態である心停止後症候群(PCAS)に対する集中治療が,救命の連鎖の最後の輪として,新たに追加された(文献2)。
PCASは,心停止から自己心拍が再開した後に生じるきわめて重篤な病態の総称として,2008年に提唱されたものである(文献3)。心停止患者に対する治療では,心拍再開を得ることだけでなく,(1)低酸素性脳障害,(2)蘇生後心機能障害,(3)全身性虚血再灌流障害,(4)心停止の原因病態,に対する蘇生後の集中治療管理の重要性が強調される。
特に良好な機能予後のためには,低酸素性脳障害をいかに回避することができるかが,最も注目される。最近,否定的試験結果があるものの,有効性の期待される低体温療法の適応が常に考慮されるところである。

【文献】


1) American Heart Association:Circulation. 2000;102(Suppl 1):I22-59.
2) Berg RA, et al:Circulation. 2010;122(18 Suppl 3):S685-705.
3) Neumar RW, et al:Circulation. 2008;118(23): 2452-83.

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