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球状塞栓物質(マイクロスフィア)を用いた経動脈的化学塞栓療法

No.4702 (2014年06月07日発行) P.60

作原祐介 (北海道大学病院放射線診断科)

登録日: 2014-06-07

最終更新日: 2016-10-26

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肝細胞癌に対する経動脈的化学塞栓療法(TACE)は,主に肝切除あるいはラジオ波焼灼療法といった局所療法の適応から外れた患者を対象に行われているが,局所療法を施行されている患者でも,再発のために経過中にTACEへ移行することが多い。したがって,TACEの治療成績の向上は,肝細胞癌の患者の生命予後に大きく寄与していると考えられている。
従来,TACEには抗癌剤と油性造影剤リピオドールRを混合して投与するリピオドールTACE(Lip-TACE)が施行されてきた。Lip-TACEは多くの論文で有効性が報告されてきたが,強い肝機能障害を生じる場合があり,血管障害も強いため,繰り返しの治療で肝動脈が著明に狭小化・閉塞し,治療ができなくなることもある。
海外では約10年前から抗癌剤を含浸して投与できる球状塞栓物質が普及しているが,わが国でもようやく2013年にヘパスフィアRとディーシー ビーズRが承認され,2014年から販売が開始された。粒子径は最小で100~300μm程度の範囲にそろえられ,凝集しにくいことから,細い血管でも末梢まで到達し,薬剤輸送と塞栓をより確実に行うことができる。また,肝機能障害や血管障害が少ないこと,Lip-TACEが無効な病変に対する有効性も報告されている。治療の選択肢が拡大したことで,治療成績の向上が期待される(文献1,2)。

【文献】


1) Lencioni R, et al:Cardiovasc Intervent Radiol. 2012;35(5):980-5.
2) Dekervel J, et al:J Vasc Interv Radiol. 2014;25 (2):248-55.e1.

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