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頭頸部扁平上皮癌に対する化学放射線療法後のPET-CTの有用性 【原発巣やリンパ節転移を同時かつ高精度に評価可能】

No.4827 (2016年10月29日発行) P.59

西村剛志 (横浜市立大学耳鼻咽喉科・ 頭頸部外科講師)

折舘伸彦 (横浜市立大学耳鼻咽喉科・ 頭頸部外科教授)

登録日: 2016-10-27

最終更新日: 2016-10-25

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化学放射線療法(CRT)は,臓器温存を望む切除可能な中・下咽頭,喉頭原発の進行癌に対する標準治療のひとつとされる。治療前のPET-CTは病期評価のため,日本核医学会の「FDG PET,PET/CT診療ガイドライン」で推奨されている。

頭頸部癌にCRTを施行した場合,腫瘍消退に伴う変形や瘢痕形成により,原発巣の効果判定が困難となる。その場合に治療終了2~3カ月後のPE T-CTによる評価の有用性が報告されている1)。また,治療方法の進歩に伴い,CRTによる頸部リンパ節転移の制御が可能となる機会が増えている。頸部リンパ節の制御は予後と関連するため,病変残存時は早期救済手術を行う必要がある。

治療終了3カ月後のPET-CT評価により,不要な手術を回避し患者負担を軽減できる可能性が示された2)。つまり,CRT終了2~3カ月後のPET-CTは,原発巣,頸部リンパ節転移を同時かつ高精度に評価可能な検査方法と考える。

上記ガイドラインでは,二段階治療を施行中の患者において,第一段階治療(本項ではCRTに相当)完了後の第二段階治療方針(救済手術の適応)決定のための病期診断にもPET-CTが推奨されており,これらの報告との整合性が示され,有用性はきわめて高いと考える。

【文献】

1) Subramaniam RM, et al:AJNR Am J Neuroradiol. 2010;31(4):598-604.

2) Mehanna H, et al:N Engl J Med. 2016;374(15): 1444-54.

【解説】

1)西村剛志,2)折舘伸彦 横浜市立大学耳鼻咽喉科・ 頭頸部外科 1)講師 2)教授

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