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前立腺癌薬剤耐性期と思われる場合,放射線療法は適応となる?

No.4803 (2016年05月14日発行) P.58

中村和正 (浜松医科大学医学部放射線腫瘍学講座教授)

登録日: 2016-05-14

最終更新日: 2016-10-25

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【Q】

前立腺癌薬剤耐性期と思われる場合の放射線療法の適否について教えて下さい。
(山口県 H)

【A】

ホルモン療法,抗癌剤を含め,薬剤耐性期となった前立腺癌に対して,放射線治療は適応となる場合があります。
まず,腫瘍が前立腺局所または骨盤リンパ節領域に限局している場合は,根治的外部照射により再び前立腺特異抗原(prostate-specific antigen:PSA)が低下することがあります。遠隔転移を伴う場合でも,局所再燃により生じた尿閉などの症状改善には,緩和的に行う外部照射が有効です(文献1)。
また,骨転移による痛みや脊髄圧迫にも,外部照射は効果があります。さらに広範囲に骨転移がある場合には,放射性医薬品による治療が考慮されます。現在,骨転移には,塩化ストロンチウム89(メタストロンR)の使用が認可されています。この薬剤は,カルシウムと同類の金属であり,造骨活性の亢進した骨転移部位などに集積し,鎮痛効果が認められます。また,近年,塩化ラジウム223が骨転移に対する新たな放射性医薬品として登場し,わが国でも認可される予定です。この薬剤も骨転移部位に集積しますが,骨折,痛みなどの骨関連事象を抑えるだけでなく,多発骨転移を有する去勢抵抗性前立腺癌で全生存率が延長すると報告されており(文献2),期待が高まっています。

【文献】


1) 中村和正, 他:Urol View. 2009;7(2):77-81.
2) Parker C, et al:N Engl J Med. 2013;369(3):213-23.

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