No.5290 (2025年09月13日発行) P.53
大槻明広 (鳥取大学医学部麻酔・集中治療医学分野教授)
山口重樹 (獨協医科大学医学部麻酔科学講座主任教授)
登録日: 2025-09-16
最終更新日: 2025-09-09
慢性痛に対してオピオイド鎮痛薬を使用する場合,治療期間は3カ月を基本として,最長6カ月で休薬・減量を検討することが推奨されています。適正にオピオイド鎮痛薬の休薬・減量を行う上での注意点やコツはありますか。
獨協医科大学・山口重樹先生にご解説をお願いします。
【質問者】
大槻明広 鳥取大学医学部麻酔・集中治療医学分野教授
【「自発的な休薬・減量の訴えを待つこと」と「終わりを見据えた薬物療法」を心がける】
無理な休薬・減量による退薬症候の出現は,その後の休薬・減量を困難にします。オピオイド鎮痛薬(以降,オピオイド)の退薬症候では,痛覚過敏,不安焦燥,悪寒戦慄,異常発汗,流涙,鳥肌,腹痛・下痢,動悸,あくびなど,「自律神経の嵐」と呼ばれる激しい症状を患者が自覚します。そのため,緩徐な減量はもちろんですが,患者の自発的な休薬・減量を促すことが重要です。しかし,患者から自発的に休薬・減量の訴えを引き出すことは困難だと思います。「この薬を内服しているから今の自分の生活は成り立っている」と思い込んでいる患者は少なくありません(状態依存学習)。
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