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先天性難聴[私の治療]

登録日: 2024.09.26 最終更新日: 2026.02.21

中川尚志 (九州大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科学分野教授)

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先天性難聴は新生児の1000人に1人と,他の先天性疾患に比べ高頻度でみられる。原因の約60%は遺伝子変異,15%が先天性サイトメガロウイルス感染症である。遺伝性難聴の70%は非症候性である。3歳時点で,新生児期に難聴がなかった児の2000人に1人に難聴が発見される遅発性難聴が報告されている。

▶診断のポイント

発見には新生児聴覚スクリーニング,1歳半健診,3歳児健診,就学児健診が重要である。難聴が疑われた際は経過をみずに,精密医療機関に速やかに紹介する。生後3週までに行った尿中サイトメガロウイルス核酸検出で陽性になった場合は,サイトメガロウイルス感染症が治療可能な小児科へ紹介するとともに,新生児聴覚スクリーニング後の要精査を早期に済ませ,2カ月以内に治療を行うか決定できるようにすることが必要である。

▶私の治療方針・処方の組み立て方

早期発見・早期支援につなげることで音声言語,手話言語など言語全般の発達に有利となる。他覚的聴力検査である聴性脳幹反応(ABR),聴性定常反応(ASSR)を行い,音への反応をチェックする。これらの検査による反応閾値は誤差が大きいため,難聴の程度は聴性反応検査である条件詮索反応(COR)と合わせて判断する。左右差は他覚的聴力検査に加え,ヘッドフォンで左右別に検査ができる遊戯聴力検査で確定する。感音性もしくは伝音性の判断は,5~7歳ぐらいでの純音聴力検査まで待たないとわからない。しかし,伝音難聴のみで聴力レベルが70dB以上になることはない。

乳幼児期は1種類の聴力検査で正確な聴力レベルを知ることは困難なため,複数の検査,聴性反応を用いた自覚的検査と誘発反応による他覚的検査を併用し,結果を合わせて閾値を考える「cross-check principle」が原則である。他覚的聴力検査のみで聴力レベルを判断してはいけない。遺伝子検査および側頭骨CT・MRIは,臨床像を予測する上で有用である。


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