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尿膜管遺残症,尿膜管癌[私の治療]

No.5217 (2024年04月20日発行) P.47

矢西正明 (関西医科大学腎泌尿器外科学講座准教授)

木下秀文 (関西医科大学腎泌尿器外科学講座教授)

登録日: 2024-04-20

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  • 尿膜管は胎生期に退縮して正中臍索となるが,出生後も退縮せずに尿膜管が開存すると尿膜管遺残となる。開存の部位により尿膜管開存,尿膜管洞,尿膜管囊胞,尿膜管憩室の4つに分類される。最も頻度が高いのは尿膜管洞で,思春期~若年期になってから臍部の感染による排膿を契機に,診断に至ることが多い。尿膜管の部位に,稀ではあるが尿膜管癌が発生することがある。尿膜管癌の発生部位としては膀胱尿膜管移行部,すなわち膀胱頂部付近に多く発生する。自覚症状としては,肉眼的血尿・頻尿・排尿時痛などの排尿症状や下腹部痛などがあるが,初期は無症状のことも多く,腫瘍が膀胱外や腹膜外へ浸潤しやすいため,診断時には進行性のものも少なくなく,11.0~30.5%に遠隔転移を有していると報告されている。遷延する排尿症状を有する患者の場合は,念頭に置いて診察にあたる必要がある。

    ▶診断のポイント

    尿膜管遺残症・尿膜管癌いずれにおいても,診断には超音波検査やMRI検査が有用である。特に尿膜管遺残症においては,MRIの矢状断で,臍から膀胱頂部までの尿膜管の索状物が連続している様子がわかりやすい。

    尿膜管癌に特徴的な画像所見としては,内部に粘液産生を伴う場合は低濃度の領域が混在し,石灰化病変を伴うことが多いと報告されている1)。膀胱頂部に病変がある場合は膀胱鏡検査で確認が可能で,尿膜管癌の確定診断には,経尿道的な腫瘍切除による病理診断を行う。病理組織学的には8割以上は腺癌であり1),その他粘液性腺癌,印環細胞癌などが報告されているが,これらは予後不良因子である。その他,尿細胞診やCEA,CA-125,CA19-9といった腫瘍マーカーも診断の一助となる。

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