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膀胱腫瘍[私の治療]

No.5205 (2024年01月27日発行) P.46

齊藤亮一 (京都大学大学院医学研究科泌尿器科学教室准教授)

小林 恭 (京都大学大学院医学研究科泌尿器科学教室教授)

登録日: 2024-01-28

最終更新日: 2024-01-23

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  • 膀胱腫瘍はほとんどが悪性腫瘍(膀胱癌)で,男女比は4:1,喫煙や職業性発がん物質への曝露が危険因子となる。組織型は尿路上皮癌が90%以上を占める。筋層浸潤および遠隔転移の有無が治療方針の分岐点となる。初発例の約80%は筋層非浸潤性癌であり,残り20%が筋層浸潤性癌である。膀胱癌は時間的空間的に多発する特徴がある。初めは筋層非浸潤性癌であっても,高リスク症例の場合は膀胱内再発を繰り返しながら局所浸潤,所属リンパ節転移や遠隔転移をきたすことがあるので注意が必要である。

    ▶診断のポイント

    【初診時の対応】

    膀胱癌の初発症状は90%以上が無症候性肉眼的血尿である。初回診察では,尿検査と尿細胞診検査を提出する。尿細胞診でclass IV~Vの場合は,尿路上皮癌が膀胱または上部尿路に存在する可能性を強く疑うが,尿細胞診の感度は35~70%程度と低いのが問題である。腹部超音波検査で水腎症の有無,膀胱腫瘍の有無を確認する。続いて膀胱鏡検査を行い,腫瘍の大きさ,形態,数と位置などを確認し,後に続く経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)のプランニングの材料とする。

    【画像診断】

    膀胱癌の臨床診断後に膀胱MRI検査にて腫瘍深達度を評価する。胸腹部造影CT検査(早期相・平衡相・排泄相)にて上部尿路癌,所属リンパ節転移,遠隔転移の有無を検索する。

    【組織診断】

    腰椎くも膜下麻酔または全身麻酔でTURBTを行う。完全切除を基本とするが,明らかな筋層浸潤性癌で完全切除が困難な場合は可及的切除にとどめる。病理組織検査で組織型,悪性度,深達度,脈管侵襲の有無などを評価する。

    【病期診断】

    TNM分類(UICC第8版)に基づき臨床病期を決定する。臨床運用上は①筋層非浸潤性膀胱癌,②筋層浸潤性膀胱癌,③転移性/切除不能膀胱癌の3つにわかれる。

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