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停留精巣の手術治療時期などについて

No.5199 (2023年12月16日発行) P.56

林 祐太郎 (名古屋市立大学大学院医学研究科 小児泌尿器科学分野教授)

佐藤裕之 (東京都立小児総合医療センター泌尿器科部長)

登録日: 2023-12-19

最終更新日: 2023-12-12

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  • 停留精巣は泌尿器科の先天性疾患の代表的なもので,将来の不妊と悪性化という問題を有しています。

    (1)手術治療は早ければ早いほどよいのでしょうか。
    (2)触診で鼠径部にも精巣が認められない場合は腹腔鏡手術を行うべきでしょうか。
    (3)停留精巣と遊走精巣(移動精巣)の診断と治療の違いについて。

    以上について,東京都立小児総合医療センター・佐藤裕之先生のご教示をお願いします。

    【質問者】林 祐太郎 名古屋市立大学大学院医学研究科 小児泌尿器科学分野教授


    【回答】

    【停留精巣の手術は,現時点では1歳前後から2歳頃までが妥当な時期と考えられる】

    (1)将来の精巣機能・妊孕性の観点では早いほどよい可能性は示唆されていますが,手術・麻酔合併症のリスクや長期的成績が明確でない現時点では,1歳前後から2歳頃までが妥当な時期と考えられます。

    停留精巣は生下時から確認される病態で,新生児期には4.1~6.9%に認められますが,1歳時には1.0~1.7%に減少することが報告されています。生後3カ月までは自然改善が認められ,低出生時体重児でも6カ月程度までは自然改善が認められるため,これより早期の手術治療は勧められません。海外のガイドラインでも,6カ月以上の年齢で精巣固定術を行うことが推奨されています。

    1歳未満で手術した症例では,術後精巣サイズが有意に大きくなったとの報告がある一方,1歳未満と1歳代に手術した場合は,青年期以降の精巣サイズに差がみられないとも報告されています。組織所見・思春期以降の精液所見では,1歳未満で手術した症例が有意に有効で,手術時年齢と精液所見は逆相関することも報告され,3歳時に手術した群では生検組織所見が不良であるとの報告があり,精巣機能・妊孕性の観点では,年齢は早いほうがよいことが示唆されています。

    精巣の悪性化の観点では,10歳未満であれば頻度に差がないと報告され,10歳前に手術を終えていれば問題ありません。

    これらの点から早期の手術が推奨されていますが,手術年齢が低いほど手術・麻酔管理の難易度は上がり,手術合併症としての精巣萎縮の頻度は1歳未満が最も高いことが報告されており,この点を考慮すると1歳前後から2歳代までに手術を行うことが勧められます。

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