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膵囊胞[私の治療]

No.5192 (2023年10月28日発行) P.46

潟沼朗生 (手稲渓仁会病院消化器病センターセンター長)

登録日: 2023-10-30

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  • 膵囊胞性疾患は腫瘍性囊胞と非腫瘍性囊胞に大別される。腫瘍性囊胞の代表的なものは,膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm:IPMN), 粘液性囊胞腫瘍(mucinous cystic neoplasm:MCN),漿液性囊胞腫瘍(serous cyst neoplasm:SCN)である。また,充実性腫瘍の囊胞変性をきたす充実性偽乳頭状腫瘍(solid pseudopapillary neoplasm:SPN)や膵内分泌腫瘍など,画像所見では囊胞の形態を呈することがあり,鑑別が必要である。非腫瘍性囊胞には,囊胞内面に上皮を有する貯留囊胞と上皮を有さない仮性囊胞や,膵炎後の局所合併症であるwalled-off necrosis(WON)が挙げられる。

    ▶診断のポイント

    膵囊胞性病変の多くは無症状で,検診の腹部超音波検査(US)や他疾患の診断のためのCTで発見される場合が多い。鑑別診断の手順は,最初に詳細な病歴の聴取と診察,および血液生化学検査を行い,加えて各種画像診断を行う。

    ▶私の治療方針・診断の組み立て方

    腫瘍性か非腫瘍性かの鑑別が必要である。鑑別診断のためには,囊胞の部位,囊胞の個数(単発か多発か),大きさ,形状(円形,類円形,ブドウの房状,不整形),囊胞壁の状態(厚さ,壁肥厚や壁在結節の有無,充実部分の有無),囊胞内部の状態(多房性か単房性か,出血,debris,粘液の有無),囊胞と主膵管との交通の有無などに注目し診断する。造影CTにより囊胞壁や内部の造影効果を確認する。

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