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丹毒,蜂窩織炎[私の治療]

No.5188 (2023年09月30日発行) P.57

飯野志郎 (福井大学医学部皮膚科学講師)

登録日: 2023-09-29

最終更新日: 2023-09-26

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  • 丹毒,蜂窩織炎ともに皮膚を原発とする細菌感染症であり,同一スペクトラム上の疾患である。丹毒は真皮浅層に発生し,A群β溶連菌を主な起炎菌とする。一方,蜂窩織炎は真皮深層から皮下脂肪層を病変の主座とし,黄色ブドウ球菌を主な起炎菌とする。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    丹毒は顔面に好発し,片側性に蠟様光沢を伴う境界明瞭な紅斑,腫脹,熱感,疼痛を特徴とする皮疹が出現する。同じ部位に繰り返し丹毒が発症する場合がある(習慣性丹毒)。

    蜂窩織炎は主に下肢に好発し,局所の発赤,腫脹,熱感,疼痛,時に膿瘍が出現する。

    両者ともに発熱などの全身症状を伴うことがある。通常,丹毒,蜂窩織炎ともに水疱や血疱,皮膚の壊死などの皮疹は出現しないが,逆にこれらの皮疹がみられた場合は壊死性軟部組織感染症の可能性を考慮する。

    【検査所見】

    上記の皮疹に加えて,血液検査所見としてCRPの上昇や白血球数の増多,白血球分画中の好中球有意の増多がみられる。採血データ上,laboratory risk indicator for necrotizing fasciitis(LRINEC)score1)が高値の場合は,壊死性軟部組織感染症の可能性があるため,専門医へのコンサルトが望ましい。

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