株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

感染性胃腸炎(ノロ,ロタなど)(小児)[私の治療]

No.5164 (2023年04月15日発行) P.49

川越 信 (かわごえ小児科クリニック院長)

登録日: 2023-04-12

最終更新日: 2023-04-11

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 感染性胃腸炎という診断名は多種多様な原因によるものを包含する症候群であり,嘔気・嘔吐,腹痛,下痢,発熱などを症状とする。臨床現場ではウイルス性胃腸炎が多い。ロタウイルスワクチンの定期接種化により,補液や入院を要するロタウイルス胃腸炎は激減している。

    ▶診断のポイント

    嘔吐,腹痛,下痢をきたす疾患は胃腸炎とは限らない。自分で症状を訴えられない乳幼児の場合,急性腹症や消化器系以外の疾患を常に念頭に置き,丁寧に診察することが重要である。周囲で同様の症状を呈している者がいるかや,最近の食事内容について確認する。

    ノロウイルスは11~1月,ロタウイルスは2~4月,細菌性腸炎は夏場に多い。各地域の感染症サーベイランスも参考にする。胃腸炎と診断後,ウイルス性か細菌性かの判断をする。血便,40℃以上の発熱,強い腹痛があれば細菌性を疑って便培養を施行し,必要に応じて抗菌薬の投与を検討する。ウイルス性を疑う場合には,集団感染の発生など公衆衛生上の必要性がなければ治療方針も変わらないため,抗原検査は原則必要ない。なお,ノロウイルス迅速検査の保険適用は「3歳未満」などに限られるため,注意が必要である。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    ノロウイルス胃腸炎の有症期間は平均1~3日で,有効な治療法はなく,対症療法を行う。

    急性胃腸炎の治療においては,脱水の重症度評価を行うことが大切である。重度の脱水と評価した場合は経静脈輸液療法を選択する。重度の脱水を示唆する所見として,体重9%以上減少,反応性に乏しい,目が落ちくぼんでいる,頻脈,多呼吸,末梢冷汗,ツルゴール低下,などがある。中等度以下の脱水と評価した場合は経口補水療法を優先する。

    制吐薬のナウゼリン(ドンペリドン)は有効との報告もあるが,胃腸炎の嘔吐は自然治癒することが多く,症例ごとに投与を判断する。整腸薬は下痢の期間を短縮する報告があり,筆者は投与している。

    止痢薬については有効性のエビデンスはなく,イレウス等重篤な副作用の報告もあるため,原則投与しない。ロペミン(ロペラミド塩酸塩)は6カ月未満禁忌,2歳未満原則禁忌である。

    残り1,327文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
    現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
    2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
    又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

    ●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
    今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top