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人工尿道括約筋埋め込み術の適応とタイミング,合併症リスクについて

No.5163 (2023年04月08日発行) P.51

堀口明男 (防衛医科大学校病院泌尿器科准教授)

横山みなと (帝京大学医学部附属溝口病院泌尿器科教授)

登録日: 2023-04-08

最終更新日: 2023-04-04

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  • 前立腺肥大症や前立腺癌の治療に続発する尿失禁は泌尿器科医にとって悩ましい問題です。最も効果が期待できる治療は人工尿道括約筋埋め込み術と思いますが,どの程度の失禁を埋め込みの適応と考えるか,またどの程度適応を厳密に考えるべきか,そして埋め込みのタイミングについてご教示下さい。また,埋め込み後のびらんや感染などの合併症リスクが高いのはどのような症例になりますでしょうか。
    帝京大学医学部附属溝口病院・横山みなと先生にご解説をお願いします。

    【質問者】堀口明男 防衛医科大学校病院泌尿器科准教授


    【回答】

     【6カ月以上持続する重度尿失禁。再手術症例等は要注意】

    人工尿道括約筋埋め込み術の適応は,重度尿失禁と言われていますが,その定義は確立されていません1)。イメージとしては,日中起きて活動しているとほぼ全尿失禁のような状態です。パッドの使用枚数も参考にはしており,1日4~5枚以上が目安ですが,患者によってその交換頻度は大きく異なりますので,注意が必要です。また,埋め込み後に十分な量の蓄尿が可能であることを事前に知っておく必要もありますので,私は「寝ているときは十分に尿をためることができるが,長く歩いているようなときほとんど漏れてしまう」ことを問診で確認しています。

    膀胱尿道吻合部を含めた尿道狭窄やアクティブな放射線膀胱炎など,経尿道的処置を要しうる疾患は人工尿道括約筋埋め込み術の禁忌であり,その確認に必ず膀胱鏡を行っています。その際に200 mL以上の注水が余裕をもって行え,残尿なく排尿できることを確認することで,適応判断をしています。埋め込み後には,排尿の際に陰嚢内のポンプを患者自身が操作するため,認知機能や手指機能も確認する必要があります2)

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