岸田文雄内閣は2月10日、「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案」を閣議決定しました。これには「医療法の一部改正」も含まれています。本稿では、そのうち「かかりつけ医機能の確保に関する事項」(30条等)について検討します。
「かかりつけ医機能の確保に関する事項」は多岐にわたりますが、私は以下の3つが重要と思います。
第1は、「病院、診療所又は助産所」(以下、病院等)は、「医療を受ける者が身近な地域における日常的な診療、疾病の予防のための措置その他の医療の提供を行う機能(以下、かかりつけ医機能)その他の病院等の機能」についての情報を、「所在地の都道府県知事に報告するとともに、当該事項を記載した書面を当該病院等において閲覧に供しなければならない」ことです。それに加え、各病院等のかかりつけ医機能の報告に基づいて、地域での協議の仕組みを構築し、協議を踏まえて医療・介護の各種計画に反映することとされています。
第2は「かかりつけ医機能」を以下の5つと明示したことです。①外来医療の機能、②休日・夜間の対応、③入退院時の支援、④在宅医療の提供、⑤介護サービス等と連携。条文はもっと長い表現ですが、ここでは、簡略化のため、昨年11月28日の社会保障審議会医療部会に提出された「資料1-1」の表現を用いました。
第3は、「かかりつけ医機能」の確認を受けた病院等の管理者は、「継続的な医療を要する者に対して居宅等において必要な医療の提供をする場合その他外来医療を提供するに当たって説明が特に必要な場合として厚生労働省令で定める場合であって、当該継続的な医療を要する者又はその家族からの求めがあったときは、正当な理由がある場合を除き、電磁的方法その他の厚生労働省令で定める方法により、その診療を担当する医師又は歯科医師により、当該継続的な医療を要する者又はその家族に対し、次に掲げる事項(疾患名、治療に関する計画等)の適切な説明が行われるよう努めなければならない」ことです。