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自己免疫性肝炎[私の治療]

No.5114 (2022年04月30日発行) P.44

大平弘正 (福島県立医科大学医学部消化器内科学講座主任教授)

登録日: 2022-04-30

最終更新日: 2022-04-27

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  • 自己免疫性肝炎(autoimmune hepatitis:AIH)は,慢性および進行性に肝障害をきたす疾患であり,国内の有病率は人口10万人当たり23.9人,男女比は1:4.3である1)。肝障害の原因は不明であるが自己免疫機序の関与が想定され,副腎皮質ステロイドが奏効する。なお,医療費助成対象疾病(指定難病)である。

    ▶診断のポイント

    既知の肝障害の除外と,抗核抗体あるいは抗平滑筋抗体陽性,IgG高値(>基準値上限1.1倍),肝組織におけるinterface hepatitis所見が重要である。わが国の診断指針および改訂版国際診断スコアが診断に有用である。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    診断後に重症度判定を行い,状態に応じて治療方針をたてていく。原則として副腎皮質ステロイドによる治療を行う。治療導入後の速すぎるステロイドの減量は再燃のリスクが高まるため,ALTやIgG値の改善を確認しながら,ゆっくりと漸減する2)。ウルソデオキシコール酸は,ステロイド減量時に併用あるいは軽症例に単独投与することがある。アザチオプリンは,NUDT15遺伝子多型検査で安全性を確認し,ステロイド治療により血清トランスアミナーゼが基準値範囲内にコントロールされない症例や治療中に再燃した症例に追加投与する。なお,アザチオプリンを使用する場合,治療効果が認められた際には効果を維持できる最低用量まで減量する。また,6カ月投与しても治療効果が現れない場合には,投与継続の要否を検討する。

    急性肝不全例に対しては,必要に応じて移植外科医とも連携しながら,ステロイドパルス療法や肝補助療法を行う。

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