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口内炎[私の治療]

No.5111 (2022年04月09日発行) P.46

任 智美 (兵庫医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室講師)

登録日: 2022-04-12

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  • 口内炎とは「口腔粘膜に発赤,腫脹,浮腫,アフタ,びらん,潰瘍,水疱,出血,白苔,角化,肉芽,壊死などを形成するが,奇形や腫瘍などによらない病変」とされ,アフタとは,白色の偽膜と周囲の紅暈が特徴的で,口腔粘膜に発生する円形ないし楕円形の,大きさは小豆大までの境界鮮明な炎症と定義づけられる。原因は多種多様であり,中には自己免疫疾患などの内科疾患や皮膚科疾患の一病変であるもの,また原因の特定に苦慮するものも少なくない。

    ▶診断のポイント

    まずは視診や触診,問診が重要である。問診では,契機,内服歴,嗜好物,習慣や癖,食習慣,随伴症状,症状の変動,経過,性生活などが必要となってくる。原渕ら1)が,口腔咽頭潰瘍の鑑別疾患をフローチャートにしているので参考にする。重要な点は,視診や触診で壊死,肉芽,硬結,潰瘍の周堤を認める場合,また難治性の場合は,悪性腫瘍の除外や診断の手がかりとなるため生検を行うことである。通常の口内炎は摂食時痛を訴える。自発痛を訴えるが,口腔粘膜に異常所見がみられない,かつ摂食時に痛みが軽快するときは舌痛症を疑うことも必要である。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    感染症(ウイルス,梅毒,結核,真菌など),薬物(NSAIDs,メトトレキサート,抗菌薬,抗腫瘍薬など),自己免疫疾患(扁平苔癬,ベーチェット病,天疱瘡,クローン病など)など様々な原因があるため,それらによって治療方針は異なる。舌炎の場合,鉄欠乏性貧血やビタミンB12・葉酸欠乏による巨赤芽球性貧血などの貧血疾患が背景に存在することがあるため,血液検査が参考になることもある。日常診療で最も遭遇するアフタは,予後は良好で1〜2週間で自然治癒することも多い。再発性・難治性で,他疾患が除外できた例では,歯科領域の不具合を調整(義歯調整,不正咬合の矯正,不良補綴充塡物の除去,口腔内不衛生の改善など)し,また舌で歯の裏をこするなど日常的な習慣がある場合はそれを改善させる。原因が特定されない口内炎は,過労や免疫力低下,ストレス,栄養の偏りなども関与するため,生活習慣を是正する。

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