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弱視[私の治療]

No.5101 (2022年01月29日発行) P.46

林 思音 (林 思音(国立成育医療研究センター眼科)

登録日: 2022-01-30

最終更新日: 2022-01-26

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  • 弱視は視覚中枢(脳)の発育障害であり,眼球に器質的異常がないか,あってもそれだけでは説明できない低視力と定義される。適切な時期に治療を開始すれば,良好な視力を得る可能性が高い。弱視は屈折異常弱視,不同視弱視,斜視弱視,形態覚遮断弱視,の4つに分類される。頻度は人種により異なり,アジア系人種では1.8%である1)

    かつて弱視には「医学的弱視」と「社会的弱視」があったが,混同を避けるため社会的弱視は「ロービジョン」と呼ばれるようになった。なおロービジョンとは,視機能が弱く矯正が難しい視覚障害のことである。

    ▶診断のポイント

    視力が年齢相応に発育していない,もしくは視力の左右差(小数視力で0.2程度以上)がある場合,弱視を強く疑う。次に眼位・眼球運動検査,調節麻痺下屈折検査,前眼部・眼底検査を行い,弱視の原因を明確にする。もし原因が説明できない場合,器質的疾患の存在が疑われるため,さらなる精査を行う。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    治療は,まず屈折矯正を行う。どのタイプの弱視においても屈折矯正は有効な治療手段であり,最初に行うべき治療である。矯正眼鏡は原則,前述の調節麻痺下屈折検査の値で作製する(完全屈折矯正眼鏡)。

    眼鏡装用のみで4カ月間経過観察し,視力改善が得られない場合,眼鏡装用に加えて弱視訓練を併用する。弱視訓練には健眼遮閉または薬物治療を行う。健眼遮閉は薬物治療に比べて早期に弱視が改善するが,最終的な視力改善効果は同等である2)。健眼遮閉が困難な場合,健眼にも遠視を認める不同視弱視では,薬物治療を選択する。

    斜視あるいは他の器質的疾患を伴う場合は,原疾患の治療を弱視治療に並行して検討する。
    治療にもかかわらず視力の改善効果が得られない場合,再度各種検査を実施し,器質的疾患の除外を行う。

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