株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

神経因性膀胱[私の治療]

No.5100 (2022年01月22日発行) P.46

三井貴彦 (山梨大学大学院総合研究部泌尿器科学講座教授)

登録日: 2022-01-23

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 下部尿路機能は,脳・脊髄などの中枢神経と末梢神経により構成される神経反射経路によって制御されているが,神経疾患によって生じる下部尿路機能障害や下部尿路症状を呈する病態が神経因性膀胱である。

    ▶診断のポイント

    原因となる疾患からある程度病態は把握できるが,同じ原因疾患でもその病態は多岐にわたるため,尿流動態検査による下部尿路機能の評価は必須である。その際に,①自排尿(特に随意的な自排尿)が可能か,②膀胱内の高圧環境や上部尿路障害はないか,の2点を評価する必要がある。

    【問診,理学的・神経学的所見】

    原因となる神経疾患の病歴の聴取,質問票を用いた下部尿路症状やQOLの評価を行う。

    【非侵襲的検査】

    排尿日誌からは,尿量,排尿回数,機能的膀胱容量,失禁の有無,多飲・多尿の有無,排尿パターンなど,下部尿路機能に関する多くの情報が得られ,治療効果の判定にも用いることができる。腎尿路の超音波検査は,下部尿路機能の診断に非常に有用な検査で,水腎症などの上部尿路障害や膀胱壁肥厚の有無を評価する以外に,男性では前立腺体積を測定できる。尿流測定,残尿測定は,問診や排尿日誌などで自排尿が確認できた場合,排尿状態の評価を行う上で重要な検査である。

    【侵襲的検査】

    膀胱内圧測定,内圧尿流検査,透視下尿流動態検査は,泌尿器科の中でも限られた施設のみで行われている検査であるが,神経因性膀胱における下部尿路機能を評価する上で重要な検査である。カテーテルの挿入を伴うため侵襲的検査となるが,下部尿路機能に関する非常に多くの情報を得ることができる。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    治療の目的は,第一に腎機能の保護と尿路感染の予防であり,第二に尿失禁の改善によるQOLの向上である。

    治療の原則は,膀胱内の低圧環境の維持であり,そのために保存的治療として薬物療法やカテーテルを用いた尿路管理を行う。

    保存的治療でコントロール不良な際には,外科治療を考慮する。

    残り1,280文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    関連書籍

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
    現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
    2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
    又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

    ●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
    今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top