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【識者の眼】「コロナ禍の変化に応じた対応力の見直しを」小倉和也

No.5100 (2022年01月22日発行) P.55

小倉和也 (NPO地域共生を支える医療・介護・市民全国ネットワーク共同代表、医療法人はちのへファミリークリニック理事長)

登録日: 2022-01-07

最終更新日: 2022-01-07

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米国疾病予防管理センターが12月27日、新型コロナ感染者と接触者の隔離期間に関する指針を改定した。感染者は5日間の隔離のあと症状が落ち着けば残り5日間マスクをつけて外出可能、接触者はワクチン規定回数接種後6カ月以内またはブースター接種後であれば、マスク着用と5日後の検査は推奨のみで隔離は不要などとなっている。

他者への感染が発症前1〜2日から発症後2〜3日にほぼ起こっているとのデータに基づき、流行拡大の中で最低限の安全を守りながら、社会全体の活動を停止させないための現実的な対応と言えるもので、“with corona”と呼べる政策があるとすれば、まさにこのような政策修正の継続を言うのだろうと受け止めている。

長引くコロナ禍の中、これまでも次々と状況が変化し新たな対応が求められてきた。その変化と求められる対応の速度は増すばかりで、omicron株の出現から1カ月あまりの間の各国の対応にはそれぞれの考え方が今まで以上に現れている。新たな情報から予測に基づき多少誤差があっても被害が少ない対策を早急に始めようとする国もあれば、現状分析に時間をかけ、遅れても間違いの少ない対応を選ぼうとする国もある。意思決定やその後の実行における速さと規模、精度などが、最終的に明暗を分けると言えるが、その結果が数十万・数百万単位の人命であることを考えると、現場で医療を担う一人としてだけでなく市民としても、「興味深い」の一言で終わらせることはできない。変化への対応の決断や実行が遅れることが市民の健康や生活にどれだけ影響するかを、この10年あまりの地域包括ケアの取り組みと、この2年ほどのコロナ対策を通じても痛感してきた。

第6波に備えながらコロナ禍での3年目を迎えるにあたり、行政をはじめ日本の様々な組織の変化に即した意思決定と対応力を見直すことを提案したい。忖度などしないウイルスの前では、生きるか死ぬかの場面でどうしたら最短で最善の決定と実行が可能なのか、それが今求められるプロセスであると考える。

一つひとつの流行の波で露呈した課題を修正しようとしても、責任と権限の所在が曖昧な中で稟議・合議を繰り返し、結論がでないまま次の波に突入することを繰り返すことは終わりにしたい。それぞれの波で亡くなられた方々の無念さや、虚しさを感じながら目の前の患者に対応し続けるしか無かった医療者の想い、そして苦しみに耐えながら協力した様々な業種の事業者や国民の気持ちを無駄にしないためにも、2022年こそは、変化に迅速に対応しながら少しずつ信頼できる日常を取り戻し、コロナ以外の変化にも耐えうる社会につなげられるよう微力を尽くしたい。

小倉和也(NPO地域共生を支える医療・介護・市民全国ネットワーク共同代表、医療法人はちのへファミリークリニック理事長)[新型コロナウイルス感染症]

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