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斜視[私の治療]

No.5086 (2021年10月16日発行) P.45

牧野伸二 (自治医科大学眼科学講座学内准教授)

登録日: 2021-10-18

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  • 斜視は眼位ずれとともに両眼視機能の異常や弱視を伴ったものである。斜視の種類には,眼位ずれの方向で内斜視,外斜視,上下斜視,起こり方で恒常性,間欠性,発症時期で先天性,後天性,ずれの方向が視方向で変化するかで共同性,非共同性(麻痺性)などがある。

    ▶診断のポイント

    斜視の大まかな種類(内斜視,外斜視,上下斜視) を知っておく。特に重要なものは,内斜視では先天性内斜視(発症は生後6カ月以内,眼位ずれは大きく,遠視は軽度)と調節性内斜視(発症は2歳頃に多く,遠視が原因),外斜視では恒常性外斜視 (いつも外にずれる)と間欠性外斜視(ときどき外にずれる) である。

    【内斜視が疑われたら】

    意識しても両眼を外に向けようとする開散運動はほとんどできない。そのため,内斜視の状態を自分でまっすぐにはできない。したがって,内斜視が疑われたら,専門医に紹介すべきである。発症時期は家族が気にしていないことも多いので,写真を持参してもらい確認するのがよい。内側に寄っているように見える偽内斜視(内眼角の形が左右で違うため,寄っているように見えるもの)もあるが,偽内斜視が将来にわたって正位である保証はない。家族には屈折異常の検査(特に遠視の有無)が重要であることを説明する。

    【外斜視が疑われたら】

    恒常性か間欠性かを区別するために,輻輳が可能であるか確認する。輻輳運動は本来意図的に可能であり,輻輳ができて,眼位を正しくできれば,原則として急いで治療することはない。

    【上下斜視が疑われたら】

    本人が知らないうちに首を傾けてものを見ていることに家族が気づくことがある。反対に傾けると上下偏位が顕著になることで確認できる場合がある。水平斜視に合併していることも多いため,上下斜視が疑われたときには専門医に紹介すべきである。

    【成人の斜視】

    成人でも小児期からの斜視が放置されていたり,眼精疲労を主訴に受診することがある。また,軽度の麻痺性斜視が起こり,複視を訴えて受診することもある。麻痺性斜視では,眼球運動障害の確認と複視がどの視方向で大きくなるか聴取することが重要である。成人では小児と違って主訴が明確なため,その改善に努める必要がある。手術やプリズム療法で症状を軽減することが可能なため,専門医に紹介する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    小児では視覚の感受性期間内に眼位の矯正とともに両眼視機能の獲得が,成人では眼精疲労や複視の改善,整容的改善が治療方針となる。屈折異常の矯正をした上で,斜視角の大きなものには手術を行う。非観血的治療には,プリズム療法,視能訓練がある。

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