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眼窩蜂巣炎[私の治療]

No.5082 (2021年09月18日発行) P.42

今野公士 (八王子友愛眼科院長)

登録日: 2021-09-18

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  • 眼窩蜂巣炎は眼窩内の軟部組織の感染症で急性化膿性炎症である。原因として副鼻腔疾患が多く,眼瞼の化膿性疾患(麦粒腫などの眼瞼炎含む),急性涙囊炎,涙腺炎,結膜炎などがある。また,外傷によって異物が眼窩に入って感染する場合もある。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    眼瞼の強い腫脹による開瞼不能,球結膜の充血と浮腫,眼球突出,眼球偏位,眼球運動障害に伴う複視,そして発熱などである。時に,重度の副鼻腔炎や眼窩内組織の腫脹や眼窩内膿瘍などによる眼窩内圧の上昇が視神経を牽引し視神経症を引き起こし,失明に至る視力低下をきたすこともある。静脈系の豊富なところから炎症が容易に拡大しやすく,生命に対しても視力に対しても重大な障害を及ぼすことがある。

    【検査所見】

    白血球数,白血球分画,赤血球沈降速度,C反応性蛋白(C-reactive protein: CRP)値などの血液検査を行い全身の炎症所見をみる。好酸球増多や梅毒反応が陽性かどうかもみる。緊急で短時間で撮れるX線CT検査を施行し,副鼻腔炎や眼窩内異物の有無について確認する。MRIを行うこともあるが,異物に金属片が混入している場合,MRIは禁忌なのでなるべくCTでの精査を行ったほうがよい。もし腫瘤があれば膿瘍との鑑別をし,その周辺の眼窩内組織との位置関係をよく確認する。副鼻腔(前頭洞,篩骨洞,上顎洞)や頭蓋内に異常がないかも確認する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    眼窩蜂巣炎の治療の基本は抗菌薬の全身投与である。培養の結果が出るまで広域抗菌薬を使用し,原因菌を同定したところでターゲットを絞った抗菌薬に変更していくのが一般的である。急性涙囊炎が考えられる症例,副鼻腔炎や結膜炎からの眼窩への波及が考えられる症例などは,眼脂や涙囊から排出した膿,結膜囊液を抗菌薬投与に先だって培養しておく。菌が同定でき抗菌薬に対する感受性がわかれば,初期投与の抗菌薬が効かなかった場合に薬の種類を変更する目安になる。眼窩内に著明な膿瘍を形成し視力障害をきたしている症例や,抗菌薬治療に反応しない症例,そして眼窩内に異物を認める場合などではためらわずに外科的治療を行う。

    治療上の一般的注意として,診断はまず眼瞼や涙囊,涙腺周辺を触診し腫瘤の有無を確認する。また,細菌か真菌かを鑑別する必要もある。診断内容では治療次第で逆に悪化させてしまう場合があるので,糖尿病や免疫抑制状態など基礎疾患の有無を必ず確認する。

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