株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

新型コロナ対応、救急医療管理加算を4倍・6倍に引上げ─診療報酬上の特例で事務連絡【まとめてみました】

No.5080 (2021年09月04日発行) P.14

登録日: 2021-09-02

最終更新日: 2021-09-02

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

新型コロナ感染症の新規陽性者数が連日のように全国で過去最多を更新、緊急事態宣言の対象地域や期間も順次拡大されるなどその猛威は一向に衰えない。高齢者へのワクチン接種が進んだことで感染者は若年化し、患者像や必要な医療対応に変化が生じている。こうした状況を踏まえ、厚生労働省は診療報酬上の臨時的取り扱いに関する事務連絡を立て続けに全国に送付した。8月下旬に発出された主な事務連絡について解説する。

 

中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)は8月26日、持ち回りで総会を開催し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者に関する診療報酬上の取り扱いについて議論した。COVID-19の呼吸不全管理を要する中等症Ⅱ以上の患者を診療した場合、救急医療管理加算(950点)の特例的評価を4750点から5700点に、それ以外の入院患者も2850点から3800点に引き上げることを了承した。厚労省は27日に事務連絡を送付、中等症Ⅱ以上の患者では通常の6倍、それ以外の入院患者では4倍の診療報酬が算定可能になった。

COVID-19患者が若年化()したことで、人工呼吸器やECMOを使用する重症患者よりも高用量酸素や非侵襲性換気などを使用する患者が相対的に多くなっており、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)が遷延しやすい傾向にある。そして中等症でも酸素化が悪いような重篤患者が多く、より医療的に酸素化の状況や身体所見などをよく観察する必要がある。一方、高齢者と比較して早期に回復することも多く、入院が短期間で終了するため、病床の回転率が上昇。入院初期に要する手間が増加している。

同日の中医協で厚労省は、これらの変化を踏まえ、①患者像の変化に対応するため、多職種連携を含むより手厚い体制に係る医療従事者のさらなる確保が必要、②病態を踏まえた迅速な治療方針の決定や重症化に備え、重点的な観察・頻回の検査等が必要、③血液検査で重症化マーカーを検索・フォローし、より重篤な状況への移行を見極める必要がある─と指摘。入院加療を実施している患者の診療を巡る評価について、呼吸不全管理を要する患者(中等症Ⅱ)以上を診療した場合の救急医療管理加算をこれまでの臨時的取り扱いの4750点から5700点に、それ以外の入院患者の場合は2850点から3800点に引き上げる方針を示した。

中等症の患者への診療を巡っては、2020年5月26日の事務連絡で救急医療管理加算の評価が通常の950点から3倍の2850点に、中等症Ⅱは5倍の4750点に引き上げられている。今回の特例のポイントは、免疫抑制状態にある患者の酸素療法が終了した後など急変のリスクを考慮し、中等症でなくても宿泊療養・自宅療養の対象とすべきではない患者を対象に追加し、通常の4倍の3800点が算定可能になったことだ。抗体カクテル療法のために入院管理が必要な患者も対象に含まれる。

診療側「評価の引上げは妥当」

26日の中医協で診療側の城守国斗委員、松本吉郎委員、長島公之委員(日医)は、「感染状況・診療の変化を踏まえ、生じた診療の必要性に基づき、今回提案された特例的評価の引上げについては妥当」との考えを示した。

一方、支払側と公益側の委員からは、評価の引上げによる効果検証の必要性を指摘する声に加え、診療報酬での対応の効果を疑問視する声も上がった。公益側の飯塚敏晃委員(東大院経済学研究科教授)は「診療報酬の引上げや各種補助金が、実際にコロナ病床や病院の医療従事者の増加につながったのか検証が必要」と指摘。支払側の幸野庄司委員(健保連)も「今回の対応のみならず、今までの対応や診療報酬以外の措置に各医療機関が呼応し、受入れ可能病床数が着実に増加しているかについては、しっかりと検証する必要がある」と述べ、効果検証が重要との考えを示した。

診療報酬上での対応に疑問を呈したのが安藤伸樹委員(協会けんぽ)。4倍・6倍という評価について「根拠がないことから検証もできず、意見を表明すること自体が困難」とした上で、「喫緊の課題である病床確保という点では、診療報酬引上げの効果は限定的であり、この診療報酬上の特例的な対応のみでは、課題は到底解決されるものではない」と安易な診療報酬の引上げに釘を刺した。

宿泊施設等の療養患者にも往診料算定が可能

このほか8月26日の事務連絡では、宿泊療養施設等で療養しているCOVID-19患者について、①往診の調整等を保健所や自治体または医師会が実施、②往診を担当する保険医療機関の保険医が当該患者の診療の求めがあることを確認、③当該保険医が診療の必要性を認め、実施した場合─に往診料を算定可能と整理。

27日には、自宅・宿泊療養を行っている患者に往診を実施した場合、救急医療管理加算1(950点)を算定できるという7月30日の事務連絡に関するQ&Aで、同一患家等で2人以上の自宅・宿泊療養を行っている患者を診察し、往診料を算定しない場合においても、同加算を算定できるという解釈を示した。

COVID-19関連の医療機関や自治体向け情報は日々更新されている。事務連絡などをまとめた厚労省特設サイト「自治体・医療機関向けの情報一覧」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00214.html)を随時確認してほしい。

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連物件情報

page top