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ウエストナイル熱・脳炎[私の治療]

No.5079 (2021年08月28日発行) P.36

忽那賢志 (大阪大学大学院医学系研究科感染制御学教授)

登録日: 2021-08-28

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  • ウエストナイル熱は,フラビウイルス科フラビウイルス属ウエストナイルウイルスによる蚊媒介性感染症である。アカイエカ,チカイエカ,ヒトスジシマカなどが媒介する。わが国ではこれまでに輸入感染症として1例のみ報告されている。

    ▶診断のポイント

    かつてはアフリカや中東で報告があるのみであったが,近年は北米,中南米,ヨーロッパ,南アジアなど世界中で症例が報告されている。わが国では輸入感染症として診療する可能性がある。これまでに米国のロサンゼルスから帰国した男性がウエストナイル熱と診断されている。

    感染者の20~40%が発症し,発熱,頭痛,関節痛,筋肉痛などの非特異的な症状を呈する。通常,これらの症状が1週間程度続く。半数の症例で解熱する時期に皮疹が出現する。脳炎,髄膜炎などの中枢神経系症状を呈することがある。これらの症例では,意識障害,痙攣,急性弛緩性麻痺,錐体外路症状,パーキンソニズム,ミオクローヌス,振戦など多彩な症状がみられる。その他,脈絡網膜炎,膵炎,肝炎,心筋炎,横紋筋融解症などがみられることもある。髄液を用いたPCR法は,特異度は高いが感度は48%との報告があり高くない。一般的にELISA法などによるペア血清での診断が行われるが,日本脳炎やセントルイス脳炎と交差反応を示すため,解釈に注意を要する。

    有効なワクチンはない。予防には蚊に刺されないことが重要である。蚊の刺咬を防ぐためには,流行地域で外出する際には露出の少ない服装にし,露出部分には忌避剤(特にDEETやピカリジンなどを含むもの)を使用することが重要である。

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