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発熱[私の治療]

No.5062 (2021年05月01日発行) P.18

岩田充永 (藤田医科大学病院救急総合内科教授)

大漉祐己 (藤田医科大学病院救急総合内科)

登録日: 2021-04-28

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  • 主な原因は①感染症,②腫瘍,③非感染性炎症疾患,④その他(薬剤熱や深部静脈血栓症,副腎機能不全,甲状腺機能亢進症など)である。緊急に介入が必要な病態を疑った場合は,転院・搬送の可能性も含め早期に対応する。

    ▶病歴聴取のポイント

    発熱の原因が感染症によるものか,非感染症によるものかを考慮して問診を行う。発熱の期間や熱型を聴取する。
    患者の免疫状態(化学療法や免疫抑制薬の使用,糖尿病,脾摘,担がん患者など)を把握しておく。
    既往歴,健康食品・サプリメントを含む薬剤歴,周囲の流行,旅行歴,温泉歴,ペット飼育の有無,性活動歴などを聴取する。

    ▶バイタルサイン・身体診察のポイント

    【バイタル】

    バイタルサインを測定し,異常があればまずは全身状態の安定化を図る。
    以下のquick SOFAスコアで2項目以上を満たす状態であれば敗血症を疑う。①収縮期血圧≦100mmHg,②呼吸数≧22回/分,③意識レベルGCS<15。
    複数のバイタルサインに異常を認める場合は,ほかに原因が判明するまで敗血症を考慮する。
    体温が約0.5℃上昇するごとに心拍数がおよそ10上昇すると考え,比較的徐脈を認識する。特にβ遮断薬服用者や不整脈の患者の心拍数には注意が必要である。

    【身体診察】

    咽頭所見,胸腹部所見や皮膚・関節所見を含む全身を診察し,感染源を検索する。
    髄膜刺激症状,表在リンパ節腫脹,肝脾腫,デバイス(尿道カテーテルや中心静脈カテーテルなど)も確認する。
    感染性心内膜炎に特徴的な口腔内・眼瞼結膜・四肢末梢の点状出血や心雑音,Osler結節やJaneway斑を検索する。
    点状出血・紫斑・壊死,著明な圧痛を呈する皮疹などの緊急性を示唆する皮膚症状を見逃さない。

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