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急性膵炎[私の治療]

No.5034 (2020年10月17日発行) P.43

伊藤 啓 (仙台市医療センター仙台オープン病院消化器病センター長兼消化管・肝胆膵内科主任部長)

登録日: 2020-10-18

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  • 急性膵炎は,膵臓に急性炎症をきたし,周囲臓器への炎症の波及や全身の臓器障害を起こす疾患である。画像上,びまん性または限局性に膵臓の腫大や壊死,膵周囲にfluidの貯留や壊死がみられる。成因はアルコール性や胆石性が多く,成因や重症度により治療方針が異なる。正確な成因の特定と重症度判定による迅速な対応が求められる疾患である。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    心窩部痛や上腹部痛が多い。

    【成因】

    アルコール性と胆石性が多くを占めるが,膵腫瘍(膵管癌や膵管内乳頭粘液性腫瘍など)が原因で発症するものがある。原因が特定できない場合には特発性とする。

    【検査所見】

    診断基準は,①上腹部に急性腹痛発作と圧痛がある,②血中または尿中の膵酵素(膵アミラーゼ,リパーゼ)の上昇がある,③超音波,CTまたはMRIで膵に急性膵炎に伴う異常所見がある,の3項目中2項目以上を満たしたものである。

    造影CTによる評価は重要である。膵の腫大,壊死や虚血を示唆する造影不良域の有無,周囲への炎症の進展や壊死の有無を検討する。また,胆管閉塞の有無など,胆道系の精査も成因判定に重要である。全身状態や血液検査,造影CTの結果をもとに成因の特定と重症度判定を行う。詳細はガイドラインを参照されたい。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    膵炎と診断確定後は,速やかに十分な輸液と蛋白分解酵素阻害薬の投与を開始する。成因を特定し,アルコール性もしくは特発性では重症度に応じた治療を行う。胆石性膵炎では,胆管炎や結石による疼痛が薬物療法で改善が望めないと推定される場合には,緊急ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)による内視鏡治療を行う。治療開始6~12時間以内に初期治療の効果判定,予後因子スコアの再評価を行い,改善に乏しい場合には追加治療について検討する。治療数日以内に循環動態の安定や尿量の増加など,refillingの徴候が確認されれば,輸液量を維持量に減量して肺水腫を防止する。また,経腸栄養をなるべく早い時期に開始する。来院1週間を目安にCT等で再評価し,fluidや壊死の範囲を把握しておく。感染が合併し,保存的加療で改善がみられない場合には,経皮的もしくは内視鏡的ドレナージの実施を検討する。前述したように膵腫瘍が原因で発症する膵炎もあり,膵炎の改善後に膵の画像診断を必ず行う。

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