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びまん性汎細気管支炎[私の治療]

No.5031 (2020年09月26日発行) P.40

冨岡洋海 (神戸市立医療センター西市民病院呼吸器内科部長)

登録日: 2020-09-23

最終更新日: 2020-09-18

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  • びまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis:DPB)は,1969年にHommaらによって提唱された呼吸細気管支領域を病変の主座とする慢性炎症性気道疾患で,閉塞性呼吸機能障害をきたす。高率に慢性副鼻腔炎を合併することから,副鼻腔気管支症候群のひとつでもある。発症年齢は40~50歳代をピークに男女差なく,各年代層にわたる。わが国を中心に東アジアで多く認められ,遺伝的素因(特にHLAの関与)が想定されている。かつては予後不良の疾患であったが,マクロライド少量長期療法により予後は改善し,また,発症頻度も激減している。マクロライド療法は,抗菌活性以外の免疫制御や抗炎症作用によるもので,好中球性炎症を主とする慢性気道性炎症性疾患に応用されている。

    ▶診断のポイント

    臨床症状(慢性の咳,痰,労作時息切れ),慢性副鼻腔炎の合併ないし既往,画像所見(胸部X線での両肺野びまん性散布性粒状影,胸部CTでの両肺野びまん性小葉中心性小粒状影)で診断する。胸部聴診所見では断続性ラ音,呼吸機能検査では閉塞性換気障害,血液検査では白血球数増加,赤沈亢進,CRPの上昇,寒冷凝集素(CHA)価高値,IgA高値などを認める。進行例ではびまん性気管支拡張を呈する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    マクロライド少量長期療法が基本であり,発症早期ほど効果が高く,診断後は速やかに治療を開始する。臨床効果は2~3カ月以内に認められることが多い。少なくとも6カ月間投与して,自覚症状,臨床検査所見が改善すれば,2年間の治療で終了する。広範な気管支拡張や呼吸不全を伴う進行例で有効な場合には,さらに継続投与を行う。治療終了後,症状,画像所見の再燃があれば,再投与を行う。喀痰の貯留は咳嗽を増悪させ,呼吸器感染症の温床にもなるため,適宜去痰薬を併用する。細菌感染による増悪時には,原因となる細菌に有効な抗菌薬の投与を行う。ムコイド型緑膿菌検出例であっても,インフルエンザ菌,肺炎球菌が増悪の原因菌であることも多い。

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