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地域包括ケアのカギを握る 国保直診のこれからを考える 【まとめてみました】

No.4725 (2014年11月15日発行) P.14

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-17

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  • 10月11、12日の両日、全国国保地域医療学会が岐阜市で開催された。全国から関係者約1800人が集まり、地域医療や地域包括ケアの実践について意見を交わした。この中で、多くの登壇者が指摘したのは、地域包括ケアシステムにおける国民健康保険直営診療施設(国保直診)の重要性とともに、医師をはじめとする人手不足や慢性的赤字により、十分な地域医療が提供できていないという国保直診の現状だった。

    地域包括ケアは国保直診から生まれた

    国保直診とは国民健康保険の保健事業として、国保の理念である「予防と治療の一体的提供」を行う目的で、保険者としての市町村が設置したもの。無医村や無医地区を解消するため、設置は保険者の責務とされ、地域医療に長年貢献してきた。

    こうした国保直診の取り組みから生まれたのが「地域包括ケア」の概念だ。国保診療施設協議会の山口昇常任顧問が1984年、広島県御調町(現尾道市)の公立みつぎ総合病院院長在任時に提唱したのが始まりとされる。以前から、入院患者が退院しても1年足らずで自宅で寝たきりになり再入院してくるケースが多く、これを防ぐため在宅看護・リハの提供を始め、病院には健康管理センターや介護・福祉施設を順次併設。町の保健、福祉部門を病院長の下に置くことで一元的な管理・運営による地域医療のネットワークが構築され、成果を上げた。つまり、地域包括ケアは国や厚労省が言い出したのではなく、実践の中から生み出されたものなのである。

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