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胃切除後再建術施行患者における胆膵内視鏡

No.5025 (2020年08月15日発行) P.46

岡崎和一  (関西医科大学香里病院病院長)

登録日: 2020-08-18

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 【BAEによる治療が標準的治療法として普及しつつある】

術後再建腸管を有する胆膵疾患に対する内視鏡的アプローチは従来の内視鏡では困難であり,経皮的治療や外科的治療が第一選択とされてきた。しかし,バルーン式内視鏡(balloon assisted endoscopy:BAE)を用いることで,胃切除後再建術施行の胆膵疾患患者に対する内視鏡的アプローチによる検査・処置が可能となった。

BAEは,もともとバルーンで腸管を把持し,腸管を短縮しながら深部まで挿入していく新しい挿入概念に基づき小腸内視鏡として開発されたが,通常内視鏡では到達困難な胃切除後再建術患者の胆膵検査にも応用されるようになった。最近の多施設共同前向き研究では,盲端到達成功率97.7%,胆管造影成功率96.4%,内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)関連手技成功率97.9%,偶発症発生率10.6%と,BAEを用いるアプローチの有用性と安全性が報告された。2016年には術後再建腸管(Billroth Ⅰ法を除く)を有する胆膵疾患に対するBAEを用いたERCPに対して加算点数が保険収載された。

現在,わが国で市販されているBAEには,FUJIFILM社製のダブルバルーン内視鏡(double balloon enteroscope:DBE)とOLYMPUS社製のシングルバルーン内視鏡(single balloon enteroscope:SBE)がある。今後さらに需要が増していくことが予想され,術後再建腸管を有する胆膵疾患に対する内視鏡的治療は,標準的な治療法として普及しつつある。

【解説】

岡崎和一 関西医科大学香里病院病院長

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