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【識者の眼】「withコロナ時代の熱中症対策─今から声がけ、お節介を始めよう!」太田祥一

No.5021 (2020年07月18日発行) P.58

太田祥一 (医療法人社団 親樹会 恵泉クリニック院長)

登録日: 2020-07-07

最終更新日: 2020-07-07

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環境の変化で熱中症は年々増えている。ご存知のとおり、熱中症は、完全に予防でき、熱中症になったとしても、早期発見し正しく応急処置をすれば、重症化や死亡をゼロにできる、数少ない傷病である。しかし、毎年ニュースで話題になる。日本救急医学会は、熱中症および低体温症に関する委員会で長年、調査、報告し、2015年には診療ガイドラインを策定し、18年7月には熱中症予防に関して緊急提言した(http://www.jaam.jp/info/2018/pdf/info-20180720.pdf)。熱中症の予防には、暑さに慣れる(暑熱馴化)、運動や食事等で体力を強化する、暑さを凌いでこまめに水分補給する、などがある。いずれもよく知られたことであるが、それでも、なんとなく他人事で、自分だけは大丈夫といった自信がある方が多いのかもしれない。今年は特に、自粛やマスク着用などにより、これらの予防が十分にできていないことを、常日頃から十分に意識して行動することが重要であると考えられる。このことを多くの方に意識していただくために、我々が広く声がけし続けることが必要である。

また、高齢者は、暑さに気づかず、もともと水分を多く摂らないため、声がけだけして本人任せにしておくのでは予防にならない。また、早期発見も診断も難しく、重症化してから対応することになることも少なくない。このようなことがわかっているので、地域等での見守りを強化し、訪問時に扇風機を付けたり、何かの折にいつもより多めに水分を摂っていただく工夫をするなど、多少お節介な方が予防につながると思われる。私は訪問診療時に、多少のお節介とともに、オーバートリアージで、少しでも熱中症を疑ったら早期に点滴の検討などを心がけている。

といっても、熱中症と確定診断するためには、状況証拠からだけでなく、発熱を来す疾患、特に感染症を否定することも重要である。このコロナ禍では感染防御の観点からもその診療は例年よりは難しい。暑さとともに、ちょっと前に経験した、防護具不足、医療崩壊などの危機に再び陥ることのないよう、今から、予防のための呼びかけやお節介を始めたほうが良いだろう。

地方自治体、総務省消防庁、環境省、日本気象協会、厚生労働省、日本スポーツ協会、日本スポーツ振興センター等公的機関ではリーフレット等を作成し、様々な呼びかけをしている。これらを有効に活用し、地域で熱中症ゼロを目指したい。

太田祥一(医療法人社団 親樹会 恵泉クリニック院長)[熱中症]

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