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(2)結晶誘発性関節炎[特集:関節エコーで診るリウマチ性疾患!]

No.5003 (2020年03月14日発行) P.26

原 良太 (奈良県立医科大学リウマチセンター/整形外科)

登録日: 2020-03-13

最終更新日: 2020-03-11

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Point

日常臨床で高頻度にみられる結晶誘発性関節炎は尿酸Na(MSU)結晶とピロリン酸Ca(CPP)結晶によるものであり,急性関節炎(発作)を疑う場合は関節穿刺による感染症の除外と偏光顕微鏡検査による結晶の同定が必要である

単純X線検査では,CPP結晶性関節炎では線維軟骨,硝子軟骨への石灰沈着がみられるが,沈着部位の正確な同定は困難。MSU結晶性関節炎では破壊関節で特徴的な所見がみられる

関節エコー検査は,沈着した結晶の疾患特異的な部位や形態の詳細について評価可能で,関節炎や関節周囲の炎症も可視化できるため,臨床的に結晶誘発性関節炎を疑う場合に積極的に行う

1. 結晶誘発性関節炎

結晶誘発性関節炎をきたす代表的疾患は,高尿酸血症が持続することで尿酸Na(monosodium urate:MSU)結晶により生じる痛風性関節炎(gouty arthritis:GA),ピロリン酸Ca(calcium pyrophosphate dihydrate:CPP)結晶による関節炎,石灰沈着性腱炎をきたすハイドロキシアパタイトに代表される塩基性リン酸Ca(basic calcium phosphate:BCP)結晶による関節炎などがある。好発年齢とともにMSU結晶性関節炎をきたす高尿酸血症や,比較的若年齢でCPP結晶性関節炎をきたす副甲状腺機能亢進症など,その背景にある基礎疾患の存在は重要である。透析患者においては,二次性副甲状腺機能亢進症によるCPP結晶性関節炎の頻度が高く1),前述の結晶に加えてカーボネートアパタイト結晶やシュウ酸Ca結晶による関節炎,アミロイドによる関節炎も鑑別しなければならない2)。臨床的に結晶誘発性関節炎による急性単関節炎(発作)を疑う場合,理学所見や関節液の性状が似通った化膿性関節炎の除外が常に必要となる。

日常診療でしばしば遭遇するMSU結晶(痛風発作)とCPP結晶(偽痛風発作)による急性単関節炎では,感染症の除外と原因である結晶の同定を目的に関節液穿刺を行い,グラム染色,細菌培養検査と偏光顕微鏡検査によって確定診断に至るのがゴールドスタンダードである。BCP結晶性関節炎は鏡検では検出ができないため,von Kossa染色やアリザンレッドS染色を行う3)。急性単関節炎の典型例では診断に迷うことは少ないが,非典型例であったり,慢性関節炎に移行して関節破壊を伴う多関節炎となれば,関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)をはじめとしたリウマチ性疾患と似通った病態を呈するため,診断に難渋することもある。正確な診断のためには病歴,理学所見,血液検査に加えて画像診断が不可欠であり,これまでは単純X線検査が中心であったが,近年dual energy CT(DECT)4)やMRI5)に加えて関節エコー6)が用いられるようになってきた。結晶誘発性関節炎に対する関節エコー検査では,MSUやCPP結晶沈着などの特徴的な所見が観察できるだけでなく,活動性炎症を可視化できるため結晶誘発性関節炎の局所診断能の向上が期待できる。

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