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近視[私の治療]

No.5003 (2020年03月14日発行) P.48

鳥居秀成 (慶應義塾大学医学部眼科)

登録日: 2020-03-13

最終更新日: 2020-03-10

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  • 近視とは,無調節の状態で眼に入る平行光線が網膜の前方で結像する眼の屈折状態をさし,そのほとんどは眼の奥行き(眼軸長)が長くなっている。近視の原因は不明であり,世界の近視人口は増加の一途をたどり,東京でも我々の調査では小学生の7割以上,中学生の9割以上が近視であった1)。近視治療に対し保険適用となる治療法は2019年8月時点ではなく,本稿ではメタ解析の結果2)をふまえ,私見を交えながらわが国で行える治療について述べる。

    ▶診断のポイント

    一般的には屈折値が-0.5Dかそれを超えるものとされる。正確な屈折値の評価,眼鏡処方のためには調節麻痺薬が必要である。近視の程度が強い強度近視は弱視,網膜剝離,緑内障,視神経障害,近視性黄斑症などを合併しやすく,これらの診断・治療も重要である。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    ①屋外活動時間の確保:目標は1日2時間以上である。屋外活動を構成する因子のうち,屋外の光環境(照度や波長など)が重要であることが国際近視学会から報告3)されている。そのうち,太陽光に多く含まれ紫色に見えるバイオレットライトが重要な役割を果たしている可能性がある。そこで,眼鏡処方を希望し,かつ太陽光を浴びる時間がある人の場合,紫外線は大幅にカットしバイオレットライトは透過させる眼鏡であるJINS社のVIOLET+を私は処方している。

    ②低濃度アトロピン点眼:アトロピン点眼薬は高濃度のものほど近視進行抑制効果が高いが,点眼薬中止によるリバウンドや調節麻痺効果が問題で,現在では0.01%などの低濃度アトロピンがリバウンドも少なく有効であると考えられている。ただし,製剤として購入するには個人輸入の必要がある。

    ③オルソケラトロジー:本治療は寝ている間に特殊ハードコンタクトレンズを装用し角膜を平坦化させ,近視を矯正する可逆的な治療である。さらに0.15mm/年程度の眼軸長伸長抑制効果がある。ただし,ガイドラインの適応基準として近視度数が-4.00Dまでである点,感染のリスクがある点,自費診療である点,などに注意する。それより強い近視で,眼鏡装用と併用しても本治療を希望される人には,-4.00D程度までの近視を本治療で矯正し,残った近視は眼鏡等で矯正するpartial reductionという方法を提案する。この方法も近視進行抑制効果があると言われている。

    ④サプリメント:①と関係する部分で,バイオレットライトが近視進行抑制効果を発揮するメカニズムのひとつと考えられている近視進行抑制遺伝子EGR1をターゲットとしたスクリーニングを実施した。その結果,EGR1を最も発現したクロセチンを用い,近視モデル動物を用いた研究,続いて学童を対象とした2重盲検無作為化ランダム化比較試験を実施し,安全性と有効性を確認4)した。このクロセチンを配合したサプリメントであるロート クリアビジョン®ジュニアEXが発売されている。

    【眼鏡処方について】

    近視進行抑制治療と並行して必要なのが眼鏡処方である。③も含むコンタクトレンズ装用に伴う感染などの眼合併症が生じた場合には装用中止になるため,眼鏡による矯正が必要となる。さらに,③の治療中でも合宿等に行く際,レンズ管理が子ども本人だけではできない場合に一時装用を中断するため,眼鏡が必要となることがある。そのために,どの治療を開始する前にも眼鏡を処方しておくとよい。眼鏡処方の際,低矯正ではなく完全矯正のほうが近視進行は少ないと考えられている。

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