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C型肝炎[私の治療]

No.5003 (2020年03月14日発行) P.43

坂本直哉 (北海道大学消化器内科学講座消化器内科学分野教授)

須田剛生 (北海道大学消化器内科学講座消化器内科学分野)

登録日: 2020-03-16

最終更新日: 2020-03-10

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  • C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus:HCV)の持続感染により慢性的に肝炎が惹起されている状態である。全世界でHCVキャリアは1億7000万人,わが国でも100万~150万人の持続感染者の存在が想定されている。慢性C型肝炎症例ではウイルスの自然排除は稀であり,HCV感染による炎症の持続により肝線維化が惹起され,最終的に肝硬変や肝細胞癌へと進展するため,早期の治療介入が求められる病態である。

    ▶診断のポイント

    C型肝炎の診断方法には血清抗体検査とHCV-RNA測定の2種類がある。一般的には,初めにHCV抗体検査が行われる。HCV抗体が陽性の場合は,HCV-RNA測定が行われ,陰性であれば既往感染例,陽性であればC型肝炎ウイルスの現感染症例と診断される。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    2014年のインターフェロンフリーの直接型抗ウイルス薬(direct acting antivirals:DAAs)の登場以降,多くのC型慢性肝炎患者に対する高い安全性と治療効果が,国内外の臨床試験,実臨床からの報告で確認された。特に,インターフェロン治療が主流であった時代では難治症例と言われていた,高齢者,肝硬変症例,透析症例,human immunodeficiency virus(HIV)共感染例でも,高い治療効果と安全性が同様に報告されている1)。さらに,最後のunmet needsであった非代償性肝硬変症例でも2018年よりわが国においても治療が可能となった。また,DAAs非著効例では,DAAsに対する強い耐性ウイルスの出現が高頻度で確認されるため,再治療のプロトコールは薬剤耐性変異に注意した選択が求められる。2014年以降,多くのインターフェロンフリーの新規DAAs治療プロトコールが登場してきている。各薬剤とも高い著効率と安全性が確認されているが,薬剤選択の際には薬剤排泄経路(腎機能障害患者への治療適応の有無),薬剤間相互作用,肝機能(非代償性肝硬変の有無)を考慮した薬剤選択が求められる。

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