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【識者の眼】「泌尿器科における新しい問題点や動きを紹介し、切り込む」伊藤一人

No.5000 (2020年02月22日発行) P.59

伊藤一人 (医療法人社団美心会黒沢病院病院長)

登録日: 2020-02-20

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本連載「識者の目」の執筆をお引き受けしたのは、医学・医療界に広い読者層を持つ本誌を通して、マイナー外科である泌尿器科の専門医が抱えているいくつかの大きな問題点を、泌尿器科以外の実地医家の先生方、保健・医療施策に大きな影響を持つお立場の先生方に知っていただきたいとの思いからでした。最近増加している男性特有の前立腺癌は私の専門分野ですので、国民の健康に直結する前立腺がん検診の問題については、日本泌尿器科学会全体としての取り組みや、最新ガイドラインの中で特に重要な要点を紹介し、臨床医としての私見も交えて、わが国の向かうべき方向性について切り込んでいきたいと思います。

また、最近は前立腺癌の転移例、あるいはホルモン療法に抵抗する段階に進行した去勢抵抗性前立腺癌の治療に関しては、他の癌領域と同様に、高額な新規治療薬が臨床試験で有意な生存期間延長効果を証明したことで、続々と保険診療として承認されています。泌尿器科専門医であっても、治療戦略に迷う場面が増えておりますが、増加の一途をたどる国の医療費の適切な配分という非常に重要な問題について、最新治療に携わるすべての専門医は日々の診療の中で真剣に考える必要があります。何より臨床試験結果の真の意義を正しく理解することで、新規治療薬の適切な治療対象を選別し、費用対効果比の優れたオーダーメイド治療戦略を実践する責務があると考えています。私自身の臨床医・研究者・国際誌の編集委員としての長年の経験を生かし、この場を借りて提言していきたいと思います。

現在、群馬県高崎市の民間医療機関である黒沢病院の病院長を拝命しており、管理者、泌尿器外科医として外来・手術を行いながら、当院予防医学研究所・所長としていくつかの臨床研究を主導しております。現場第一主義をモットーに臨床・研究に向き合ってきた私見に対する、ご意見・ご批判を楽しみにしております。

伊藤一人(医療法人社団美心会黒沢病院病院長)[泌尿器科]

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