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【識者の眼】「診療報酬の現行制度の解説と将来への備えを提案」三宅信昌

No.5000 (2020年02月22日発行) P.36

三宅信昌 (三宅整形外科医院院長、日本臨床整形外科学会副理事長)

登録日: 2020-02-22

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これから1年間にわたり、医療保険制度のうち現在の診療報酬点数作成方法の解説と将来の制度改正に向けてのご提案をさせてもらいます。まず第1回目では本稿の流れをお示し致します。

前半:外保連試案の作成から各学会の診療報酬改定要望までの解説

現行医療保険制度である診療報酬点数は、各学会から選出された委員からなる外保連(外科系学会社会保険委員会連合)と内保連(内科系学会社会保険委員会連合)で作成された試案に基づき作成されています。外保連試案では、手術試案・処置試案・生体検査試案・麻酔試案・内視鏡試案があり、技術、時間、人数と人件費、施設費、機器や材料の費用などが計算されています。その後、試案は厚労省の中医協(中央社会保険医療協議会)で協議され、最終的には厚労省と内閣が最終判断を行い、診療報酬点数に反映されます。

改定時には、各学会が外保連委員、内保連委員を通じて要望を提出し、厚労省とのヒアリングにて最終判断されます。

後半:今後の医療制度についての提案

これからの医療は患者さんがいかに幸せな生活を送れるようになるかによって、その価値が決まるようになります。もちろん学会では証拠に基づく医療(evidence based medicine:EBM)が主体となって研究が進められています。しかし、これからの日本は、超高齢社会で医療費の高騰が進むことが予想されています。その中で国との医療費の交渉の場で、いかに国民のために役に立つ医療であるかを証明するためには、医療経済的観点からのアプローチが重要です。費用対効果を正確に理解し、患者さん主体の評価、すなわち価値に基づく医療(value based medicine:VBM)を示すことによって、その医療技術の重要性を国にアピールできることになります。自由診療の国であるアメリカを除く先進国では、患者が1年間健康に生きるために要した医療費(incremental cost-effective ratio:ICER)により、その医療行為を国費として認めるか否かを判断しています。近々日本もその制度が採用される可能性が高いため、われわれ医療関係者はその制度を理解すべきです。

三宅信昌(三宅整形外科医院院長、日本臨床整形外科学会副理事長)[診療報酬点数]

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