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アレルギー性鼻炎[私の治療]

No.4997 (2020年02月01日発行) P.46

山田武千代 (秋田大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教授)

登録日: 2020-02-04

最終更新日: 2020-01-29

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  • アレルギー性鼻炎は,吸入抗原が原因で生じる鼻粘膜のⅠ型アレルギー性疾患で,ダニ・ハウスダスト抗原などに対する通年性アレルギー性鼻炎と,花粉抗原に対する季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)に分類される。原則的には発作性反復性のくしゃみ,水様性鼻漏,鼻閉,を3主徴とする。低年齢でも発症し小児では多くは改善がないまま成人に移行する。成人においても自然改善は少ない。スギ花粉は飛散数が多い上に飛散距離が長く,長期間飛散する特徴があり症状も強く,スギ花粉症は世界でも注目されている国民病である。

    ▶診断のポイント

    発作性反復性くしゃみ・鼻のかゆみ,水様性鼻漏,鼻閉,の3主徴が認められ,鼻汁好酸球検査,皮膚テスト(または血清特異的IgE抗体),鼻誘発テストのいずれか2項目以上陽性であることが花粉症の診断に必要である。アレルギー検査がいずれか1つのみ陽性であっても,中等度以上陽性で典型的症状があれば診断可能である。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    抗原の確認,各症状の程度から重症度分類で評価し,抗原回避,内服,鼻噴霧液,抗原特異的免疫療法,手術療法の効果など症状に合わせ「鼻アレルギー診療ガイドライン」に従い治療を行う。くしゃみ発作または鼻漏(1日平均)の回数(10~6回で中等症),鼻閉の程度数(時々鼻閉で中等症)により,症状が同程度の場合は充全型,スコアが高い症状で鼻閉型,くしゃみ・鼻漏型に分類し,それぞれ,通年性アレルギー性鼻炎,花粉症に対して治療する。日常生活に支障のない状態を管理・治療のエンドポイントとし,症状の苦痛の強さは患者により異なるが重症度分類で軽度以下とする。自然寛解が少なく,治療は長期間に及ぶことが多い。個々の年齢やライフスタイルを考慮してきめ細やかに対処する必要がある。希望に応じて漢方薬を選択することもある。薬物療法に抵抗性で,鼻閉型で鼻腔形態異常を伴う症例では手術を選択する。粘膜下下甲介骨切除術と後鼻神経切断術が長期的効果に優れている。2020年に重症スギ花粉症を適応としてIgE抗体療法オマリズマブ(ゾレア®)の保険適用が承認された。12歳以上が対象で,最適使用推進ガイドラインに基づいて使用する。

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