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クリミア・コンゴ出血熱[私の治療]

No.4982 (2019年10月19日発行) P.53

西條政幸 (国立感染症研究所ウイルス第一部長)

登録日: 2019-10-19

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  • クリミア・コンゴ出血熱(Crimean-Congo hemorrhagic fever:CCHF)はナイロウイルス科オルソナイロウイルス属に分類されるウイルスであるCCHFオルソナイロウイルス(CCHFV,CCHFウイルスと呼ばれていた)による感染症で,ヒトはCCHFVを有するマダニに咬まれたり,ウイルス血症を伴う動物(患者を含む)の体液に接触したりして感染する。アフリカ,欧州,中近東,中央アジア,南アジアで流行する。わが国では流行していない。

    ▶診断のポイント

    流行地を訪問した人,流行地から来日した人が,発熱などの感染症状を呈し,他に原因が認められず,さらにマダニに咬まれたり,患者やヒツジなどの家畜に直接的に接触したりした場合にCCHFも鑑別診断に挙げる。

    激しい頭痛,目眩,吐気,発熱,咽頭痛,頸部痛,腹痛等の症状を呈する。出血症状は発症後3~6日経過した頃に現れる。皮膚や粘膜の点状出血から始まり,広範囲の斑状出血,消化管や尿路の出血へと移行する。重症例では多臓器不全,ショックにより死亡する。多数の死亡例では,歯肉からの出血,斑状出血,吐血,下血,下痢,精神錯乱,意識混濁,傾眠傾向が認められる。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    CCHFは感染症法により1類感染症に指定されており,診断が確定した場合には,各都道府県に設置されている1類感染症患者に対応可能な病院に搬送することが必要となる。

    アフリカや中南米からの帰国者であればマラリア,デング熱(デング出血熱)などの熱帯亜熱帯地域で流行している感染症を鑑別疾患として考える。

    CCHFには特異的な治療法はない。リバビリンやファビピラビルはin vitroにおいてCCHFVの増殖を抑制し,感染動物モデルで一定の治療効果が確認されているが,ヒトにおけるCCHFに対する治療効果は確認されていない。対症療法が基本である。

    現状では,CCHF患者に対してファビピラビル治療を実施することのできる環境は整備されていない。

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